2019 Fiscal Year Annual Research Report
新構造メタラサイクルによる中員環π共役系化学の発展
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19H02700
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 慧 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 特任准教授 (90732058)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パラジウム / 環化二量化 / クロスカップリング / 八員環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はメタラサイクルに着目して、触媒的な環化カップリングを開発し、中員環を有するπ共役系分子の創出とその展開を行うものである。予備検討で発見していた八員環を構築する環化カップリング反応について、本年度は検討を行った。 予備検討において、反応の進行を確認している八員環構築環化カップリングは二つある。一つはクロロフェナントレンの環化二量化である。もう一つは、クロロフェナントレンとビフェニレンの環化クロスカップリングである。 クロロフェナントレンの二量化については、適用範囲の検討を行い、多くの基質が適用可能であることを示した。反応機構についても調査を行い、パラダサイクルを経由し、反応が進行していることを実験的に示した。 環化クロスカップリングにおいても、適用範囲の検討を行った。基質としては様々なクロロフェナントレンが適用できることを明らかにした。またビフェニレンについても、検討を行った。当初四員環が含まれる構造であれば、いずれも反応できると考えていたが、基質によっては反応性が低く、反応しないビフェニレン誘導体も確認された。反応機構については、環化二量化反応と同様にパラダサイクルを経由することと矛盾しない結果が得られた。また先にパラジウムと反応するのは、クロロフェナントレンであることが示唆されている。これらの結果から、0価のパラジウムはクロロフェナントレンと反応し、パラダサイクルを形成したのち、ビフェニレンと反応する機構が妥当であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は八員環構築カップリングについて、反応の有用性の検討を中心に行った。その結果、当初想定した以上に多くの基質で反応が進行することがわかった。反応機構についても、様々な検討を行い、中間体である錯体の単離を行うこともできた。総じて、順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、八員環構築カップリング反応について、検討を行っていく。実験的な調査はある程度行えたことから、計算科学を併用し、その反応の詳細を明らかにしていく。八員環構築カップリングは全く新しい手法であるため、新たな分子合成に応用を行う。特に、カップリングを連続的に行い、八員環を複数含む新たな芳香族分子の合成に展開していく。
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Research Products
(33 results)