2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H02701
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
瀬川 泰知 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 准教授 (60570794)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トポロジー / π共役 / 炭化水素 / アニオン種 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機機能性材料の中心を占めるπ共役構造体に対してトポロジカルな幾何構造を導入した分子群を合成する手法の確立を行なった。2021年度は、(1)湾曲したシート状トポロジーをもつπ共役炭化水素のアニオン種の単離と構造決定、および(2)メビウスの帯のトポロジーをもつ芳香族炭化水素の合成研究を行なった。 (1)有限の大きさをもつナノグラフェン分子とアルカリ金属との電子的・構造的相互作用は、グラファイト負極などの材料を理解する上で有用な知見である。平面状や正の曲率をもつナノグラフェンについては多くの研究があるものの、負の曲率をもつナノグラフェンは例が限られており十分な知見がなかった。今回、負に湾曲した大きなπ面をもつ分子「ワープナノグラフェン」の段階的な化学還元により、3つの異なる還元状態を単離することに成功した。セシウムを用いた還元反応条件において、セシウムの当量を調整し、適切なエーテル配位子を共存させることで、ワープナノグラフェンのモノアニオン、ジアニオン、トリアニオンをそれぞれ単結晶として得た。 (2)ベルト状トポロジーを備えた単純な分子ナノカーボン「カーボンナノベルト」が2017年に報告されたが、ねじれのあるカーボンナノベルト、「メビウスカーボンナノベルト」はひずみがさらに大きく、まだ合成されていなかった。今回、メビウスカーボンナノベルトの合成を行なった。ひずみエネルギーの計算は、大きなメビウスカーボンナノベルトが合成的にアクセス可能であることを示唆した。奇数の繰り返しユニットを持つ大環状前駆体を設計すると、Z選択的ウィッティヒ反応とニッケルを介した分子内ホモカップリング反応を介した合理的な合成ルートが成功し、14段階でメビウスカーボンナノベルトが得られた。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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