2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Direct Arylation Reaction of Aliphatic C-H Bonds through a Radical Chain Mechanism
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19H02728
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
白川 英二 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70273472)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラジカル反応 / アリール化 / 芳香族ラジカル置換反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルキルアミンや脂肪族アルコールのヘテロ原子(窒素や酸素)の隣の C-H 結合を反応させ,水素に代えてアリール基を直接導入できれば,その有用性は高いが,これまで汎用性の高い方法は知られていなかった.我々は,ラジカル種の高い反応性を活かした,脂肪族ラジカルの芳香環に対する付加と別のラジカル種の脱離からなる芳香族ラジカル置換反応を用いるのが効果的であると考え,この反応を利用した含ヘテロ原子脂肪族化合物の直接α-アリール化反応の開発に取り組んで来た.その基本的戦略は,何らかの前駆体から発生させた tert-ブトキシラジカルが脂肪族化合物(R-H)から水素を引き抜き炭素ラジカル種が生じ,これが脱離基Yをもつ芳香環(Ar-Y)に付加したのち,Y ラジカルの脱離に伴ってα-アリール化体(Ar-R)を得るというものである.今年度は,ハロゲン化アリールによるアルコールの直接α-アリール化が,量論量の無機塩基(炭酸バリウムあるいは炭酸水素ナトリウム)および少量(0.2 あるいは 0.4 当量)の tert-ブトキシラジカル源(t-BuOOt-Bu)存在下で進行することを明らかにした.また,さらに良好な反応条件を探索することが必要ではあるものの,アルキルアミドやアルデヒドを用いても同様の直接アリール化が進行し,それぞれN-(α-アリール)アルキルアミドや芳香族ケトンが得られることも見つけた.さらに,ギ酸エステルを脂肪族化合物として用いると,ホルミル水素の引き抜きとそれに続く脱炭酸によって生じる,エステルのアルコール部位に相当するアルキルラジカルがアリール化されることによって,アルキル置換アレーンが得られることも明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハロゲン化アリールを用いるアルコールのα-アリール化反応の成果を論文としてまとめた.また,2020年度も引き続いて若干の検討を加える必要があるものの,アルキルアミドやアルデヒドの直接アリール化,および,ギ酸エステルをアルキルラジカル源として用いるアルキル置換アレーン合成についても,論文としてまとめられる段階にある.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度取り組んで来た,少量の tert-ブトキシラジカル源を用いる連鎖機構による脂肪族化合物のアリール化について,さらに基質の適用範囲を拡げる研究を進めていく.さらに,既に予備的な結果を得ているが,tert-ブトキシラジカル源を加える代わりに電気を流すことで発生させた鍵ラジカル種を用いる脂肪族の直接アリール化反応の開発を検討する.
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