2019 Fiscal Year Annual Research Report
環状フェロセン化ナフタレンジイミドによるがんの超高感度診断
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19H02748
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹中 繁織 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60188208)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | テロメラーゼ / がん診断 / 電気化学検出 / 環状ナフタレンジイミド |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの早期診断法の確立を目指して、がん有効なマーカーであるテロメラーゼに注目し、電気化学的テロメラーゼアッセイ法に最適なシグナリング分子として環状フェロセン化ナフタレンジイミド(cFND)開発のためにいくつかの候補分子を設計・合成した。テロメラーゼは、テロメアDNAを特異的に伸長させる酵素であり、テロメラーゼの基質なる配列TSプライマーを電極に固定化したセンサチップを作成するとテロメラーゼの存在によってTSプライマーが伸長される。これを電気化学シグナルへ変換できると間接的にテロメラーゼ活性が評価できる。特にこの変換に用いる電気化学的活性プローブ分子であるcFNDの特徴として単独電解液中ではフェロセンの酸化電流が抑えられ、伸長されたテロメア4本鎖DNAに結合した際に酸化電流が増加するシグナルオン型検出系の構築を試みた。また、本系の有用性を示すために口腔がん患者の口腔をブラッシングした溶液を用いた口腔がん診断を確立を試みている。 本年は以下の研究を遂行した。 1) 新規に設計した環状フェロセン化ナフタレンジイミドとして、cFND3, cFND4, cFND5を設計、合成した。合成オリゴヌクレオチドを用いたモデル4本鎖DNA添加に応じたcFNDの吸収スペクトル変化の測定、ナフタレンジイミドの淡色効果やレッドシフトの観察によりG4とのスタキング相互作用の証明、円二色性スペクトルを用いたcFND結合に伴うG4DNAの構造変化や安定化の挙動から、合成分子のいずれも4本鎖DNAに高い選択制を有することが示された。また、フェロセンの抗癌性を期待して、細胞毒性アッセイも行った。 2) 環状のリンカー内部にフェロセンを導入した新規環状フェロセン化ナフタレンジイミドとして、incFND2の合成に成功した。現在、吸収スペクトル変化の測定等により、G4DNAに高い選択性を有することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りの合成が完了し、相互作用解析まで達成できた。これは予定通りである。また、上記の研究業績(1)については、論文投稿し、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に合成した化合物を用いて、電気化学的テロメラーゼアッセイ(ECTA)を行い、実際にがん診断へと展開し、がん診断の条件検討をおこなっていく。 すでにFNDを用いたECTAの系は確立している。この系にそのまま適用する。TSプライマー固定化電極をセンサチップとして使用するが、cFNDの非特異的な電極への吸着がFNDと異なっていれば、マスキング法の改良を必要になるかもしれない。HeLa細胞抽出液のテロメラーゼをモデル系として検討するが、最適条件が得られれば臨床サンプルを用いた評価を行う。すでに共同研究先の九州歯科大学と産業医科大学との倫理委員会の承認を得ており、サンプルはインフォームドコンセントを得た後にサンプルが提供されており、論理的な問題は発生しない。
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Research Products
(8 results)