2020 Fiscal Year Annual Research Report
Single-cell thermometry using highly sensitive programmable temperature sensors
Project/Area Number |
19H02750
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新井 敏 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (70454056)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 蛍光イメージング / 温度センサー / 細胞熱産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、今までの蛍光温度センサーの感度を大幅に超えるものを作製し、且つ、定量性を担保するために、蛍光寿命イメージングが可能な分子設計を組み込むことを目的としている。更に、完成した蛍光温度センサーを用いて、細胞の定常状態における温度マッピングを目指す。 1)超高感度の蛍光温度計の探索 今までの感度を超える超高感度の蛍光温度計をある程度Rationalに設計し、且つ、設計では予測できない部分はランダムなスクリーニング実験で乗り越える計画であった。実際、この計画に従って探索を行い、今までの蛍光温度センサーの機能を超えるものも見つかってきた。今年度は、前年度使用していた蛍光タンパク質の骨格を大幅に変更したところ、それに伴い、温度感受性の大幅な改善も見られた。更に、温度感受性を担保するセンシング部も、ある種の温度感受性のペプチドに変更したところ、これも感受性の改善に大きく貢献することが分かった。研究開始時に掲げた目標値には届いていないため、最終年度に引き続き、スクリーニングの続行を要するが、細胞応用へ展開できるスペックまで到達した。なお、研究がうまくいかない場合に想定していたバックアッププラン(ケミカルアプローチによる探索)も進行させていたが、今年度、想定外に高い温度感受性の蛍光センサーも得ることが出来た。 2)作動温度域を変化させたプログラマブル温度計の開発と蛍光寿命特性評価 コロナ禍で海外からの技術者の到着が不可となり、オンラインでのセットアップを余儀なくされたが、年度後半で、蛍光寿命顕微鏡の高速化のセットアップが整った。これに近赤外レーザーで細胞を加温するセットを組み込み、細胞を加温して蛍光温度センサーの蛍光寿命の変化を測定した。結果、研究開始時の仮説通り、作製した蛍光温度センサーに蛍光寿命応答が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の開始時に、従来の蛍光温度センサーの感度を大幅に超え、且つ、細胞内温度の定量解析を目標に掲げていた。その設計指針として、蛍光寿命応答する蛍光タンパク質と温度感受性のモジュールを組み合わせながら、理論的に狙える部分とランダムスクリーニングを適度に組みあわせ、今年度まで探索を行ってきた。結果、開始時に目標としていた値には達成していないが、十分に細胞応用できるレンジには到達しており、また、作動する温度の最適な閾値の異なる変異体も幾つか見つかっていることから、研究開始時に想定していた最低限は達成できる見込みである。しかしながら、掲げた全ての目標を全て達成することは困難になってきたことを考慮すると、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、引き続き、スクリーニングは続行しながら、細胞を用いて温度マッピングの実験を行っていく。スクリーニングのパートに参加予定の博士後期の学生が、コロナ禍で入国できていない。そこで、これを一部補うために、技術補佐員の人件費を計上し、研究の遅れを取り戻す計画である。ベストな蛍光温度センサーの探索と、細胞の定常状態の温度マッピングの実験を併行して行う予定である。なお、研究がうまく進まないときに想定していた化学系プローブの使用も、状況をみて導入する。
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