2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the redox mechanism of iron in scorodite crystal synthesis for the innovation of arsenic treatment technology
Project/Area Number |
19H02753
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 悦郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70312650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 淳 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70451862)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スコロダイト / ヒ素 / 非鉄製錬 / 安定固定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
非鉄製錬において、製錬副産物中に濃縮されるヒ素の安定固定化に向けた革新的技術の確立が、今後、国内で安定的に銅、鉛、亜鉛やその他マイナーメタルを供給するためには必要不可欠となっている。本研究は、代表者らが合成プロセスを開発した固体酸化鉄(III)を原料としたスコロダイト(FeAsO4・2H2O)結晶の生成・成長機構の解明をさらに深化させるべく、固体中の3価鉄(Fe(III))ならびに溶液中の2価鉄(Fe(II))イオンの役割や影響の解明(酸化鉄のRedox反応機構の解明)を目的としている。本年度は、まず固体酸化鉄としてマグネタイト(Fe(II)Fe(III)2O4)を用いたスコロダイト合成実験を行い、その結果、溶液中の初期Fe(II)濃度(0, 0.1, 5, 17, 34 g/L)を変化させた場合、初期Fe(II)濃度が高いほど反応初期のヒ素除去速度が速くなるが、初期Fe(II)濃度が0 g/L の場合でも溶液からヒ素は除去されることがわかった。また、初期Fe(II)濃度が低い条件では反応の進行に伴う溶液pH の上昇が大きくなり、前駆体の残存量も多くなった。これは、pH の上昇によって前駆体のスコロダイト結晶化が阻害されたものと推測された。さらに、鉄の安定同位体を用いたスコロダイト合成実験では、鉄の安定同位体は高額であるため本年度は安定同位体を少量使用する実験方法の確立を行った。来年度以降、溶液中に安定同位体(Fe(II))を溶解したスコロダイト合成実験を継続的に行える状況となった。廃液循環利用の基礎実験に関しては、本年度は保有装置の改良検討(高粘度溶液の均一攪拌に向けた検討)を行い、来年度でのさらなる改良による実験装置の確立と実験データ取得に向けた進展を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、おおむね研究計画通りにマグネタイト(Fe(II)Fe(III)2O4)を用いたスコロダイト合成実験の遂行、ならびに鉄の安定同位体を用いたスコロダイト合成実験方法の確立を行うことが出来た。廃液循環利用の基礎実験に関しても循環利用実験装置の改良検討を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本年度に引き続き、マグネタイト(Fe(II)Fe(III)2O4)を用いたスコロダイト合成実験を行い、スコロダイト合成機構の解明に向けた詳細調査を行う。また、鉄の安定同位体(Fe(II))を用いた実験に関しては、本年度に確立した実験方法で実験を行い、スコロダイト合成における鉄の価数の役割や影響の解明を行う。さらに、廃液循環利用の基礎実験に関しては実験装置改良を引き続き行うとともに廃液循環利用プロセスの具体的なデータ取得と解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)