2020 Fiscal Year Annual Research Report
Creation and Self-Organization of Supramolecular Polymers with Topologies
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19H02760
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢貝 史樹 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (80344969)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / 光反応 / ジアリールエテン / フォールディング / 螺旋 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、光誘起閉環-開環反応によってπ電子共役系構造が変化するジアリールエテンからなる超分子ポリマーの光誘起構造変化を中心に調査し、良い成果が得られたために概要を報告する。ジアリールエテン開環体を組み込んだモノマー分子を温度降下法により超分子重合すると、湾曲方向がランダムに入れ替わるランダムコイル超分子ポリマー構造が得られた。このランダムコイル超分子ポリマー溶液に紫外光を照射すると、ジアリールエテンの閉環反応がおこり、螺旋構造へと巻き上がることがAFMと小角X線散乱(SAXS)によって明らかになった。この巻きあがりは可逆的であり、紫外光を照射によるジアリールエテンの開環反応によって元のランダムコイル構造が得られた。一方、ジアリールエテン閉環体からなる螺旋超分子ポリマーの溶液を加熱して分子分散状態とし、再び冷却により閉環体を超分子重合すると、湾曲性を帯びない直線状の超分子ポリマーが得られた。同一分子から、異なった重合プロトコルで全く異なる構造が得られたことになる。直線状の超分子ポリマーに可視光を照射し、ジアリールエテンを開環体とすると、湾曲性が数週間かけてゆっくりと回復することが明らかになった。紫外可視分光法による熱力学解析によって、螺旋構造は超分子ポリマー内での相互作用によって熱力学的に安定であることが明らかになった。これらの結果から、螺旋構造への巻きあがりは、πスタッキング相互作用の増大による主鎖の内部秩序の増大とアルキル鎖間の安定化によるものと結論した。本結果は、J. Am. Chem. Soc.誌に投稿され、オンラインで掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度のキメラ型超分子ブロックコポリマーに加え、2年目も光によって螺旋フォールディングする世界初の超分子ポリマーを開発することに成功し、研究成果の公表も伴っている。故に、研究は予想を上回るほどに順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度難航していた光によるブロックコポリマーの構造制御を中心に行う。アゾベンゼンを用いた超分子ポリマーの物性をより精査することで、これが可能になると見込んでいる。 また、昨年度分子設計に苦労していた超分子ポリマーをさらに集積させるために必要な相転移(曲率の損失による結晶化)を引き起こす超分子ポリマーの開発も進める。分子設計の目処はすでにたち、いくつかのモノマーが形成する長文ポリマーが時間発展的に相転移を引き起こすことが明らかになっている。精密超分子重合により超分子ポリマーの長さを揃えることで、長さの揃った結晶が得られると期待している。
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Research Products
(38 results)