2020 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of archaea-mimetic assemblies based on controlled radical polymerization of vinyl ethers
Project/Area Number |
19H02762
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
杉原 伸治 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (70377472)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ラジカル重合 / ビニルエーテル / 重合誘起自己組織化 / RAFT重合 / ポリマー / 乳化重合 / ブロックコポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
“ビニルエーテルのラジカル重合”を基盤に,これまで学理として成立していないエーテル基を基盤とする「アーキアミメティック」化学体系を新しく構築することを目的に,前年度より継続して本研究を実施した。 まず,昨年度に達成したカチオン―π相互作用を複合的に導入した重合系と,以前に達成した水酸基含有ビニルエーテルのラジカル重合条件を参考に,オキシエチレン鎖を側鎖に有する親水性ビニルエーテル(ジエチレングリコールモノビニルエーテル,DEGV)の精密ラジカル重合を行った。その際,ジチオカルバマートをRAFT剤とする可逆的付加開裂型連鎖移動重合法を用いた。本ラジカル重合は,水系溶媒系ならびに無溶媒系でも進行し,様々な重合度のDEGVの重合体(PDEGV)を得ることができた。得られたPDEGVの構造を詳細に解析し,末端に用いたRAFT剤が導入されていることを確認した。そこで,PDEGVをマクロ連鎖移動剤(反応性乳化剤)として用い,水系で汎用性の高い酢酸ビニルのRAFT乳化重合を行った。重合はスムーズに進行し,白濁した乳化液を得ることができた。その乳化液中には,これまでRAFT乳化重合系では得ることが困難とされていた棒状粒子やベシクルが,重合度に応じて選択的に合成されていた。これらは,ポリ酢酸ビニルをコア,PDEGVをシェルとするブロックコポリマーナノ組織体であり,HLB値の高い親水性PDEGVの安定化作用によって得られたことがわかった。その他,生分解性高分子とポリビニルエーテルのグラフト型ポリビニルエーテル集合体など,同様な重合誘起自己組織化で種々のナノ組織合成へと展開し,アーキアミメティック化学体系の素地を築いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画に基づき,ビニルエーテル類の精密ラジカル重合並びにそれを用いた精密重合誘起自己組織化を実施した。その結果,ポリビニルエーテル型ブロックコポリマーおよびその集合体を得た。具体的には,ポリジエチレングリコールモノビニルエーテルをシェル,酢酸ビニルをコアとするスフィア,ロッド,ベシクル等のアーキアミメティック自己組織体である。これらは,審査付論文として発表できた。よって,おおむね順調に研究が進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに引き続き,高分散性ビニルエーテル類のラジカル重合の継続的検討ならびに得られたポリビニルエーテルを用いたアーキアミメティック組織化法をより一般化し,「アーキアミメティック」化学体系を推進する。特に,多価水酸基を有するポリビニルエーテルや機能性基を有するポリビニルエーテルを合成し,自己組織体の機能化方法を具現化する。加えて,今回合成可能になった生分解性高分子とポリビニルエーテルなどを組み合わせた重合誘起自己組織化により,アーキアミメティック化学体系を拡張する。
|