2021 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of archaea-mimetic assemblies based on controlled radical polymerization of vinyl ethers
Project/Area Number |
19H02762
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
杉原 伸治 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (70377472)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラジカル重合 / ビニルエーテル / 重合誘起自己組織化 / RAFT重合 / ポリマー / 乳化重合 / ブロックコポリマー / 物理ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
“ビニルエーテルのラジカル重合”を基軸に,これまで学理として成立していないエーテル基を基盤とする「アーキアミメティック」化学体系を新しく構築することを目的に,一昨年より継続して本研究を実施した。 まず,昨年に引き続きオキシエチレン鎖を側鎖に有する親水性ビニルエーテル(ジエチレングリコールモノビニルエーテル,DEGV)の精密ラジカル重合を行った。さらに,得られたDEGVポリマー(PDEGV)の側鎖をTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル)酸化によってカルボキシル化し,側鎖にカルボン酸を有するacid-DEGVユニットからなるポリマー(acid-PDEGV)を得た。本酸化においてTEMPO量を調整することで,酸化度を制御することができた。例えば,0%酸化した状態つまりPDEGVは,水溶性であった。一方,完全に酸化したacid-PDEGVも水溶性であった。しかし,その中間であるDEGVとacid-DEGVからなる共重合体は,これまでにない興味深い水溶液特性を示した。例えば56%のacid-DEGVユニットを含有するPDEGVの場合,常温で約1%水溶液でも系全体がゲル化した。得られたゲルは,温度上昇(約40度)により水素結合が弱まり,低粘度水溶液(ゾル)に戻ったが,乾燥後に再度水を加えると,瞬時にゲルとなる水素結合性の物理ゲルであった。つまり,加温を認識しゲルを崩壊させる「刺激履歴認識材料」が得られた。このように,「アーキアミメティック」化学体系の一つとして,ポリビニルエーテルからこれまでにない刺激履歴認識材料を構築し,新しい材料設計の基盤を築いた。 上記の他,ポリビニルエーテルのグラフト型ポリビニルエーテル集合体を設計し,重合誘起自己組織化法によるナノ組織体合成を行った。得られた集合体は,ポリビニルエーテル相をシェルとする微粒子(100~800 nm)であり,本ナノ組織体合成法の詳細な条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画に基づき,ビニルエーテル類の精密ラジカル重合並びにそれを用いた新しい材料設計を行った。その結果,アーキアミメティック刺激履歴認識材料へと繋がった。これらは,高分子学会にて発表することができた。また,一連の研究が引き続き進行中であり,おおむね順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに引き続き,ビニルエーテル類のラジカル重合の継続的検討ならびに今回得られた刺激履歴認識材料の継続的検討を行う。これにより,ポリビニルエーテルを用いたナノ組織化法を一般化し,「アーキアミメティック」化学体系を推進する。加えて,ポリビニルエーテルを含む重合誘起自己組織化により,アーキアミメティック化学体系を拡張する。
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