2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Innovative Gate Insulators Solving Trade-Off Properties by Beads-On-String-Shape Design
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19H02764
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中 建介 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 教授 (70227718)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | かご型シルセスキオキサン / ポリアゾメチン / レオロジー / ゲル化 / ポリウレタン |
Outline of Annual Research Achievements |
二官能性POSSモノマーと種々のジアルデヒドとの重合により系統的に架橋部位の長さや極性を変化させたPOSS主鎖型ポリマーの合成を行い、物性評価により、架橋部位の構造と特異な物理相互作用との関係を調査することで、数珠玉構造に由来する物理架橋の分子レベルの機構を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、2020年度は以下の成果を得た。 1)二官能性POSSモノマーにテレフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドよりも鎖長の短いイソフタルアルデヒド(IPA)、または鎖長の長い4,4'-オキシジベンズアルデヒド(ODBA)を加えて得られるPOSS主鎖型ポリアゾメチンを合成した。これらの重合溶液の濃度を変えて粘度測定を行ったところ、粘度が無限大になるゲル化臨界点における臨界濃度がジアルデヒドの構造により変化し、ODBAを用いた場合が、最も低濃度でゲル化することが分かった。次に相対粘度の濃度依存性に関して、異なるゲル化臨界濃度の値を用いてプロットを行ったところ、単一の指数関数式で表すことができることがわかった。この結果は化学構造が異なるにも関わらず、同一の機構でゲル化が起こっていることを明らかにした。これより、疎水性の二官能性POSSモノマーと極性基であるアゾメチン部位と溶媒とのバランスにより、ゲル化を起こしているという機構を提案することができた。 2)不完全縮合かご型シルセスキオキサンを基盤としたジオールモノマーを開発し、これと種々のジイソシアナートとの重合を検討した。得られたPOSS主鎖型ポリウレタンのキャスト膜は優れた可視光透過性とともに、優れた表面疎水性を示した。POSS主鎖型ポリウレタンを少量ポリ(メチルメタクリレート)に添加して、そのキャスト膜の水に対する接触角を評価したところ、0.5 wt%添加でも疎水性表面を形成し、優れた表面改質材として機能することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二官能性POSSモノマーと種々のジアルデヒドとの重合により系統的に架橋部位の長さや極性を変化させたPOSS主鎖型ポリマーの合成を行い、物性評価架橋部位の構造と特異な物理相互作用との関係を調査するという目的に対しては、化学構造が異なるにも関わらず、同一の機構でゲル化が起こっていることを明らかにし、疎水性の二官能性POSSモノマーと極性基であるアゾメチン部位と溶媒とのバランスにより、ゲル化を起こしているという機構を解明することができた。また、不完全縮合かご型シルセスキオキサンを基盤としたジオールモノマーを開発し、これと種々のジイソシアナートとの重合を検討ところ、POSS主鎖型ポリウレタンを少量ポリ(メチルメタクリレート)に添加して、そのキャスト膜の水に対する接触角を評価したところ、0.5 wt%添加でも疎水性表面を形成し、優れた表面改質材として機能することを見出すなど派生的な結果も得られていることから、総合的に判断して概ね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
POSS主鎖型ポリアゾメチンの他にPOSS主鎖型ポリアミド等も加えてPOSSの構造およびPOSS間の鎖長や構造を系統的に変化させた高分子合成を行うことでPOSS間距離および構造と物理架橋特性相関を体系的に解析し、理解する。本年度は主として得られた高分子材料の熱特性と力学特性を調査することにより数珠玉構造に由来する分子レベルでの材料特性の学術的検討を推し進めることで、耐熱性と柔軟性、硬さと柔さ、低膨張と柔軟などのトレードオフを解消する分子設計指針を見出すことで、これまでにない革新的高分子材料を開拓する。 これまでにPOSS主鎖型ポリアゾメチンをゲート絶縁膜として作製した有機TFTは良好なTFT特性を示した。しかし、実用化レベルの性能を示すためには抵抗値をさらに2桁ほど低くすることが求められる。また誘電率は3.0と既存の高分子材料と同程度であり、有機TFTをより低電圧で駆動させるために高誘電率化が必要である。架橋部位の芳香環同士のネットワークが抵抗値を下げている可能性から、架橋部位の鎖長を短くしてPOSSユニットの立体障害で芳香環同士の接触を抑制することや、飽和結合からなるジアルデヒドを用いた検討を行う。さらに極性置換基の導入したジアルデヒドを用いて合成したポリマーの誘電率と抵抗値を評価する。
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