2019 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamics of polymer materials affected by adsorbed molecules from gas phase
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19H02768
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
青木 裕之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (90343235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 司 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 室長 (70789940)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高分子薄膜 / 中性子反射率 / 分子運動性 / 超解像顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高分子材料が気相から揮発性溶剤蒸気分子を取り込む過程とともに、その影響による高分子の構造/物性の変化を明らかにすることを目的としている。本年度においては、単一高分子鎖を直接観察可能な超解像蛍光顕微鏡の光学系改良、および中性子反射率計の波長帯域拡大を行った。超解像光学顕微鏡の光学系改良においては、検出カメラとして量子効率80%以上のsCMOSカメラを導入することで検出感度の向上を行った他、より効率の高い光学フィルターを導入することで、従来よりも高精度の単一分子ダイナミクス計測を可能にした。一方で、中性子反射率測定については、本実験で使用するJ-PARC物質・生命科学実験施設に設置された反射率装置SHARAKUは利用可能な中性子の波長範囲が狭い(0.2 - 0.9 nm)ため、その範囲を拡大する改良を行った。中性子ビームの波長選別を行うチョッパー装置の制御回路を新たに設計することで、測定可能な波長領域を0.22 - 1.6 nmと、従来のおおよそ2倍の帯域にまで拡張した。これにより、中性子ビームの試料への入射角度0.5度における運動量遷移(q)範囲にして0.07 - 0.5 nm^-1、入射角度1.5度においてq = 0.27 - 2.0 nm^-1の測定を可能にした。SHARAKUで用いられているイベントレコード形式の測定システムを組み合わせることで、サブnmから数10 nmの広い空間領域の構造変化過程を10秒 - 1分の時間分解能で評価可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった顕微鏡の高感度化、及び中性子反射率系の測定波長域の拡大を達成しており、概ね計画通りに進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で整備された計測システムの高度化をさらに進めるとともに、雰囲気制御測定に特化した試料セル・環境制御の最適化を行う。これにより、ポリメチルメタクリレートを試料として溶媒雰囲気中における高分子のダイナミクス計測を行う。
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Research Products
(3 results)