2019 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体ミクロ相分離を利用したモノドメイン液晶エラストマーの新規調製法
Project/Area Number |
19H02770
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸木田 雅利 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30301170)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 液晶エラストマー / ブロック共重合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は液晶性高分子に普遍的に適用可能なモノドメイン液晶エラストマー(MDLCE)の調製法と設計指針の確立である.非晶セグメントが結合した液晶性高分子からなる液晶ブロック共重合体(LCBCP)をミクロ相分離させ,非晶セグメントに架橋を施す.この手法では液晶性高分子に架橋可能な非晶鎖を結合してミクロ相分離させ,その構造を配向させることでMDLCEが普遍的に調製できる.架橋は非晶部にのみ施されるので液晶構造に欠陥が生じることはない.本研究の目的は,ブロック共重合体ミクロ相分離を利用した液晶高分子に普遍的に適用可能なMDLCE調製法の確立である.MDLCEの伸縮率,収縮応力と液晶性高分子の構造,液晶種,ミクロ相分離構造,液晶セグメント分子量との相関を解明し,MDLCEの設計指針を確立する. 本年度は,主鎖とメソゲンを連結するスペーサーがメソゲン側部に結合しているside-on側鎖型高分子液晶の合成とブロック共重合体の調製を行い,side-on側鎖型高分子液晶の特徴がミクロ相分離挙動をに及ぼす影響を調査した.その結果,side-on側鎖型高分子液晶がネマチック液晶性であること,スペーサー炭素数nが6, 8では,ミクロ相分離界面に対してメソゲン長軸が垂直にあるホメオトロピック様配向をするのに対して,n = 8, 10となるとメソゲン長軸がミクロ相分離界面に平行にあるホモジニアス様配向をとること,ホメオトロピック様配向の影響によって,ラメラ状ミクロ相分離構造が安定化されることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液晶高分子種によるミクロ相分離構造への影響を明確に捉えてきており,液晶セグメント導入によるブロック共重合体ミクロ相分離の制御や液晶エラストマーの設計の指針に活用できる情報が得られつつある.一方,適切な架橋方法により非晶ブロックを架橋することでエラストマー化を行う必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
ポリエステル系液晶ブロック共重合体では,エポキシを用いた熱架橋法およびチオールーエン反応による架橋法など種々架橋法でのブロック共重合体エラストマーの合成に成功しており,架橋法に関する知見が揃いつつある.これらをside-on側鎖型液晶性高分子をセグメントとしたブロック共重合体に適用してゆくことで,目標とするエラストマーの創製を図る.
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