2020 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体ミクロ相分離を利用したモノドメイン液晶エラストマーの新規調製法
Project/Area Number |
19H02770
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸木田 雅利 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (30301170)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 液晶性高分子 / 液晶ブロック共重合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
side-on型側鎖型液晶についてその液晶相転移挙動,ポリメタクリレートとのブロック共重合体のミクロ相分離挙動について検討した. スペーサー炭素数nが6, 8, 10, 12のside-on型側鎖型液晶性ポリメタクリレートを原子移動ラジカル重合法で合成した.分子量1万-2万,ガラス転移温度30-45℃,液晶-液体相転移80-90℃であり,液晶種はネマチックのみであった. ポリブチルメタクリレートとのブロック共重合体を合成した.液晶セグメントの体積分率φが50-80%の範囲でミクロ相分離構造を調査した.ミクロ相分離構造の組成および温度依存性は液晶性セグメントのnによって異なった.n = 6, 8では,液晶性セグメントが液晶を形成している温度(液晶温度)において,φ = 50-65%の共重合体がラメラ状ミクロ相分離構造を形成する一方,液晶性セグメントが液体となる温度ではφ = 65%の共重合体は非晶シリンダー/液晶マトリクスのミクロ相分離構造を形成した.n = 10,φ = 65%の共重合体は液晶温度でも非晶シリンダー/液晶マトリクスのミクロ相分離構造となった.n = 12のブロック共重合体ではφ = 45%の共重合体のみラメラ状ミクロ相分離し,他の分率では温度によらず非晶シリンダー/液晶マトリクスのミクロ相分離構造を形成した. ラメラ状ミクロ相分離界面に対する液晶配向がnによって異なることを見出した.n=6, 8では界面に対して液晶が垂直に配向する.n=10, 12では界面に対して液晶が平行に配向した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
side-on側鎖型液晶性高分子の相挙動を明らかにし,ミクロ相分離構造を形成する共重合体の設計に成功している.ただし,セグメントの偏析が弱く,明確な小角X線散乱プロファイルが得られないため,ミクロ相分離構造の詳細解析を可能とする非晶セグメントを探求する必要もあると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
side-on側鎖型液晶性高分子の相挙動を明らかにし,ミクロ相分離構造を形成する共重合体の設計に成功しているものの,セグメントの偏析が弱く,ミクロ相分離構造を維持したまま非晶セグメントを架橋する方法を探求する可能性がある.一方,side-on側鎖型液晶性高分子ならではのミクロ相分離界面での液晶配向を見出しており,ミクロ相分離構造を制御する新たな手法として提案したい.
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