2019 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物/窒化物へテロ界面を持つバルクナノコンポジット熱電変換材料の開発
Project/Area Number |
19H02800
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大瀧 倫卓 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50223847)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化物熱電変換材料 / ナノ構造制御 / 窒化物 / 拡散防止層 / ナノコンポジット / ヘテロ界面 / フォノン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、温度差を電力に直接変換する熱電変換材料について、耐熱性が高い物質群である酸化物系材料に着目し、高温でもナノ構造を安定に保持するため、異種材料として高い導電性を 有する金属窒化物を拡散防止材料として組み合わせたナノコンポジット化を行い、優れた熱電変換性能を長期間保持できる手法を開発するものである。 2019年度は、n型酸化物熱電変換材料として優れた性能を示すことが知られているSrTiO3(STO)酸化物ナノ粒子の表面を窒化物シェルで覆った酸化物@窒化物コアシェル型ナノ粒子の液相合成方法を確立した。市販のSTOナノ粒子上にチタンテトラブトキシド(TBOT)の加水分解によるゾルゲル法でTiO2シェルを被覆し、その後シェルのみをアンモニア流通下での焼成により窒化しTiNとすることにより、酸化物/窒化物コアシェル構造ナノ粒子を合成した。TBOTの滴下の順序と加水分解に用いるNH3水の滴下量の調整により、20から40nmの膜厚を有するSTO/TiO2コアシェルナノ粒子が得られた。得られたナノ粒子のSTO/TiNコアシェル構造は、SEM/EDSのライン分析と元素マッピングから明確に確認できた。このコアシェル型ナノ粒子の焼結により、STO酸化物ナノ粒子間をTiNの拡散防止層で隔てたナノコンポジット構造を形成した。TiNの融点は約2950°Cと高温であるため、窒化物の焼結実績が豊富な放電プラズマ焼結(SPS)を採用し、ナノ構造を保持した短時間焼結を行うことにより、酸化物/窒化物ナノコンポジットを得ることができた。SEM/EDSなどによりナノコンポジット材料の微細構造を種々のサイズスケールで観察し、導電率、ゼーベック係 数、熱伝導率の測定により熱電特性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の後半に、研究代表者が不測の急性疾病で緊急入院し、1ヶ月半の入院加療を要したため、年度後半に予定していた研究計画を次年度に繰り越して実施することになった。さらに2020年度は、年度当初から新型コロナウイルス感染症の拡大によって研究活動がほぼ不可能となったため、研究計画を修正するとともに、一部の計画は第3年度の2021年度まで再度繰り越すことになった。このため、2019年度の当初計画は予定通りには進捗しておらず、計画の一部に変更と遅れが見られるが、研究計画の繰越実施により、期待された成果はおおむね達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、2019年度の後半に予定していた研究計画は次年度に繰り越したが、2020年度当初から新型コロナウイルス感染症の拡大によって研究活動がほぼ不可能となったため、一部の計画は2021年度まで再度繰り越すことになった。状況の変化に対応して、具体的な実験手法の一部を変更しているが、当初の目的と基本的な研究方針からの大きな逸脱はない。
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