2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H02803
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山内 悠輔 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (10455272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多孔体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,非侵襲血糖値センサをはじめとするバイオセンサの小型化を目的として,機能性多孔体の創製を目的としている.例えば,従来のグルコースセンサに用いられる基板材料は多孔質ではなく,反応面積も少なく,涙,汗,唾液などに含まれるグルコース濃度では検知できない(Sensitivity問題).また,汗などには塩分,尿素などが多く含まれており,検出が妨害される(Selectivity問題).このように,高Sensitivityと高Selectivityを兼ね揃えた電極が今求められている.申請者らは,最近では,電気化学プロセスと融合させることにより,組成を金属まで拡張可能とし,世界で初めて高品質なナノポーラス金属(金属ナノ多孔体)を実現させた.本物質系は,骨格が金属のみから形成している電気伝導性の高い多孔体であり,従来の無機酸化物系とは異なる電気化学系への応用が期待される.本研究では,これらのコンセプトを拡張し,グルコースセンサへの展開を第一に推進する.高い表面積を活かし,及び選択性大の結晶面を積極的に露出させることで,高いSensitivityとSelectivityを実現する. まずは,合成手法の基盤技術の確立を行うため,ブロックコポリマーを水溶液中でミセル化し,目的とする金属の金属塩類を溶解させた.その後,電解析出法により,金属を導電基板上に電着させた.この時,金属イオンはミセルと複合化しているため,金属イオンが電着する際にはミセルも同時に基板上に接近する.ここでは,一般的な電気化学的なプロセスを適用し,印加電圧,及び電析時間で膜成長速度を精密に制御することができた.導電性基板上に直接金属多孔膜をクラックなく連続膜で成長できるため,得られた基板をそのままグルコースセンサーの基板として使用できた.また,初歩的な検討として,溶液中に微量のグルコース溶液を滴下していき,他の電気化学センシングで使用している基板と比較し,優位性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
提案書に記載された実験項目を着実に達成してきている.
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Strategy for Future Research Activity |
上述した実験方法により,異なる細孔径や壁厚など,用いる界面活性剤の種類・分子量や金属イオンの種類・量を調整することにより,ほぼ無限に制御可能である.それにより,以下に示すように細孔表面の曲率が変わる.具体的に説明すると,高い結晶性を有する細孔壁を構築することにより,通常の金属ナノ粒子では形成が難しいとされている(熱的安定性の低い)高次結晶面やステップ,キンクなども,細孔空間の露出表面には多く存在することが明らかになっている.これらの場所には,配位不飽和の金属原子が多く存在しており,,その完全な制御によりグルコースの酸化反応を大幅に促進させることができるはずである.単なる細孔径の調整のみならず,積極的に活性点を多数露出できるように調整する. また,上述した実験方法により,様々な種類の金属イオンを用いることで,合金化したメソポーラス薄膜を作製することが可能である.現時点では,貴金属と比較的安価な金属との合金化に成功しており,グルコースのセンシングにおいて,高いSensitivityを有することが確認されている.さらに,最適化した金属の組み合わせを考えることにより,更に高いSensitivityを実現できると期待される.
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