2020 Fiscal Year Annual Research Report
Processing for fabrication of multivalent cation conducting ceramics by external field
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19H02804
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
鈴木 達 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50267407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 義和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40357281)
田村 真治 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80379122)
小林 清 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (90357020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオン伝導体 / 強磁場 / 結晶配向 / 焼結 |
Outline of Annual Research Achievements |
セラミックス材料においては、結晶構造に異方性を持ち、伝導性が結晶方向に依存する物質の場合には、結晶配向を制御していくことにより、その特性に飛躍的な改善が期待出来る。多価カチオンの固体イオニクス中における伝導においても、結晶配向がその伝導特性に影響を与えることは必至である。 本年度においては、NASICON型結晶構造をとりMgを伝導種とする(Mg0.1Hf0.9)4/3.8Nb(PO4)3に着目し、その配向制御を試みた。この物質は、イオン伝導測定が可能なサイズでの単結晶は作製されていない物質である。共沈法を用いて前駆体を合成し、1100℃×6h、1200℃×6h、1300℃×6hの熱処理を行うことで単相粒子を作製した。遊星型ボールミルを用いて磁場配向に適した粒度分布に調製し、PEIを分散剤としてエタノール溶媒スラリーとした後、スリップキャスト時に12Tでの静磁場、または回転磁場を印加して成形、その後に磁場外で焼結することにより結晶配向に成功した。この物質において、c軸が磁化容易軸でa軸が磁化難易軸であることを初めて見出している。また、EBSD法を用いて配向度の定量化も行った。この物質ではc軸配向でのMgイオン伝導が一番高いことを確認した。また、高温XRDよりa軸とc軸の熱膨張係数がそれぞれ負および正であり、無配向多結晶の場合にはバルク全体としても熱膨張が負となることを明らかにした。この結果は、配向によりイオン伝導度を高めることができ、さらに磁場の印加方向を自在に調整することが可能であることから結晶配向方位を任意に傾けることによってNASICON型化合物のバルク材としての特定方向における熱膨張を効果的に制御できることを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Mgイオン伝導を示す物質に対して、その磁場配向に成功し、さらに伝導度の異方性を明らかに出来ている。単相粒子の合成は電気炉内の温度の均一性など繊細な条件を必要とするが、分担研究者の大阪大学において合成を行うことにより研究を加速させた。また、配向制御を行ったことにより、一つの結晶軸で負の熱膨張係数を持つことを世界で初めて明らかにすることが出来ている。また、この負の熱膨張係数を持つ結晶方位を任意の方向へ傾けることにより、面内での熱膨張を制御できることを提案した。このことにより、電解質と電極とでの熱膨張係数の違いによる割れや剥離の抑制となると期待出来ることを示した。実験の実施に必要な機器の修理が、コロナの影響により業者の対応が遅れたために実施計画が繰り下がり、計画からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に着目していたNASICON型結晶構造をとりMgを伝導種とする物質と比較するために、Mgを伝導種とするが結晶構造がNASICON型と若干異なるβ硫酸鉄型構造をもつMgZr4(PO4)6に着目し、結晶配向制御を試みる。ゾルゲル法を用いた粒子合成、スラリー調製及び静磁場と回転磁場を印加しながらの成形を行う。ゾルゲル法を用いての粒子合成においては、前駆体合成時のpHなどの条件が、その後の熱処理による粒子合成時における不純物生成などに影響するため、前駆体合成時におけるプロセス条件を変化させることで、単相粒子生成条件の検討を行う。さらに、緻密化に関しては通常の常圧焼結を試み、電気炉での緻密化が難しければ放電プラズマ焼結を用いることで緻密化を行う。焼結体を用いて磁化容易軸と磁化難易軸の決定を行う。また、イオン伝導度の異方性に関しての測定も行う。
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