2020 Fiscal Year Annual Research Report
金属層を介して接合した半導体による可視光応答型の光触媒電極システム構築
Project/Area Number |
19H02823
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Research Institution | Kanagawa Institute of Industrial Sclence and Technology |
Principal Investigator |
秋山 賢輔 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 化学技術部, 上席研究員 (70426360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祖父江 和治 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 化学技術部, 主任研究員 (10426413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半導体ヘテロ接 / 光触媒 / 水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金属層を介してp型とn型の半導体を接合させることにより、光触媒の還元反応に用いる伝導帯下端の電極電位、及び酸化反応に用いる価電子帯上端の電極電位を制御する。これにより光触媒反応に寄与する電子と正孔の化学ポテンシャルが制御された光電極型の光触媒反応システムを構築し、水分解による水素 (H2)と酸素 (O2)の発生特性を評価することを目的とする。 このため近赤外より短波長の光に対し応答可能、伝導帯下端の電極電位が水分解によるH2発生電極電位よりも卑な電位に位置するp型半導体の鉄シリサイド(β-FeSi2 )が、n型半導体である炭化ケイ素(SiC)、及び酸化チタン(TiO2)等の酸化物がAu層を介してヘテロ接合した水分解用の光電極システムを作製し、光触媒効果による水分解特性から変換効率を評価する。 変換効率には光触媒材料の光応答特性のみならず、光励起された電子及び正孔の分離特性、それら電荷授受特性が影響する。本研究のヘテロ接合系の水分解システムにおいては、それらの中で電荷授受の影響が大きいことが明らかとなり、助触媒担持による電荷授受改善が変換効率の評価に必要であるとの考えに至った。 そこで、光電着法における担持金属の出発材料、酸化犠牲剤、励起波長の検討を行い、光触媒効果による水分解の還元反応を行うp型半導体(β-FeSi2)への還元助触媒金属(Pt)とCrOxとのコア・シェル構造の担持を実現し水分解反応の向上を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の課題とした窒化物光電極材料の水中での光酸化の抑制に対して窒化タンタル(Ta3N5)をタンタルのアンモニアを用いた窒化処理から合成し、コバルト(Co)リン化物(Co-Pi)担持による酸素(O2)発生の促進、及び光酸化によるTa3N5分解抑制を確認した。 さらにp型半導体である鉄シリサイド(β-FeSi2 )とn型半導体である酸化チタン(ルチル型TiO2)とのヘテロ接合系において、光触媒効果による水分解の還元反応を行うp型半導体(β-FeSi2)に還元助触媒金属(Pt)とCrOxとのコア・シェル構造の担持を実現し水分解の向上を実現した。この内容に関する特許出願を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度にβ-FeSi2 とn型半導体であるルチル型TiO2とのヘテロ接合系で得られたコア・シェル構造を有する還元助触媒の担持を、SiC、及びTa3N5とのヘテロ接合系にも応用して水分解反応の評価を進める。0.8eVと小さな禁制帯幅のβ-FeSi2よりも大きな禁制帯幅(2.0~3.2eV)を持つこれらn型半導体との組み合わせを実現して、その波長応答性、変換効率を明らかにする。 鉄シリサイド半導体とそれらのn型半導体がAu層を介して接合した複合光電極構造の作製検討を行う。気相成長法のスパッタ法を用いてSiC単結晶、及びTa3N5多結晶膜上へのVapor-Liquid-Solid成長機構による結晶成長を検討する。禁制幅が小さくなることで予想される酸化反応電位の減少に対し、初年度に検討を行った酸化助触媒(CoOx、Co-Pi)担持によって対応する。
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Research Products
(4 results)