2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19H02844
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有本 博一 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (60262789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの身体を構成する物質は絶えず入れ替わる必要があり、細胞内分解の乱れや停滞は疾患や老化につながると考えられています。細胞内の物質分解を担うオートファジーを制御することにより、蓄積した有害物質を選択的に取り除くことができれば、疾患や老化に対する新しいアプローチとなるはずです。そこで、選択的オートファジー機構を特定の細胞内基質の近くにリクルートする手法としてAUTAC法の研究を行い、本年度は学術論文として成果発表しました。本研究課題は、この論文において中心的な役割を果たしました。タグ化したタンパク質、タグを持たない内因性タンパク質の順に研究を進めました。内因性タンパク質にAUTAC分子を送達するためには低分子量の標的化リガンドを利用しました。狙った基質が分解される過程を詳細に調べ、オートファジー因子や各種のポリユビキチン鎖、オートファジー受容体の関与を明らかにしました。続いて、ミトコンドリアをAUTACで分解する実験に進みました。選択的オートファジーによるミトコンドリア分解はミトファジーとして知られていますが、分解の定量的評価が技術的に困難であることから、成果発表にあたり外部研究者から多くの実験的課題を指摘されました。これに対応するため、ミトファジー誘導条件の最適化、分解中に酸性化するミトコンドリアの蛍光顕微鏡下での可視化、分解におけるParkin-PINK1経路の関与の検証などを実施しました。これら論文発表の過程で実施された実験は、AUTAC法の作用機序の理解を深めることにつながるもので、次年度以降の検討に生かしていくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
AUTAC法に関する最初の報告を主要な国際誌において公表することができた。オートファジーを用いて、特定の細胞内基質を自在に分解する手法は、AUTACが世界に先駆けたものである。Altmetricsなど論文注目度の指数も高い。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果をもとにして、次年度の計画を推進する。作用機序が部分的に明らかになったものの、AUTAC分子を認識する整体分子が不明であるなど更なる検討が必要である。
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