2019 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of the host target of rhizobial effector and its activation of symbiosis signaling
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19H02860
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 伸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40379285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 誠 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (30291933)
箱山 雅生 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (60422804)
下田 宜司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (80415455)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 根粒菌 / エフェクター / III型分泌系 / 共生 / マメ科植物 / ダイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 根粒菌エフェクターORF5208(以下5208)はULP(ubiquitin-like protease)相同領域を有する。ULP領域が宿主との共生に関与するか明らかにするため、ULP領域の活性中心のアミノ酸置換変異体を作成した。変異体をダイズEn1282(nfr変異体ダイズ)に接種して共生能力を調べた結果、全ての変異体がダイズEn1282との共生能力を失った。この結果からULP領域が5208の根粒形成誘導能力に必須であることが明らかとなった。 2. 5208タンパク質の生化学的作用を明らかにするため、大腸菌発現系を構築した。GST(Glutathione S-transferase)を融合した5208タンパク質を大腸菌内で発現誘導し、SDS-PAGEで解析した結果、目的タンパク質と予想される分子量付近にバンドを確認し、さらに抗5208抗体を用いたウェスタンブロッティングで当該バンドが5208タンパク質であることを確認した。 3. 大腸菌で発現させた5208タンパク質を精製し、ダイズの根抽出液を基質としてSUMO除去活性について検討した。SUMO除去活性は、抗SUMO抗体を用いたウェスタンブロッティングにより評価した。その結果、5208タンパク質による明確なSUMO化は観られなかった。5208タンパク質の基質濃度が低く、現在の実験条件では検出できない可能性が考えられた。 4. 5208により宿主側に引き起こされる遺伝子発現をRNA-Seq解析により解析した。根粒菌野生株と5208破壊株をそれぞれ接種したダイズの根を回収、RNAを抽出し、RNA-Seq解析を行った結果、サイトカイニン合成系遺伝子の発現上昇、エチレン生合成遺伝子、WRKY転写因子、Chalcone synthaseなど防御応答関連遺伝子の発現抑制が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
根粒菌エフェクターORF5208の根粒形成誘導能力にULP(ubiquitin-like protease)領域の活性が必須であることを明らかにし、さらにORF5208の大腸菌発現系を構築することに成功した。また、ORF5208により宿主側に引き起こされる遺伝子発現をRNA-Seq解析により解析し、サイトカイニン合成系遺伝子の発現上昇、エチレン生合成遺伝子、WRKY転写因子、Chalcone synthaseなど防御応答関連遺伝子の発現抑制がみられることを明らかにした。以上のようにORF5208の根粒形成誘導にかかわる重要な知見を多く発見しており、ORF5208による新規共生経路解明に向けた進捗状況は順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果をうけて、下記3課題について研究を進める。 1. 根粒菌エフェクターと相互作用する宿主標的因子の検索・・・根粒菌エフェクターORF5208が、宿主ダイズ側のどのようなタンパク質と相互作用するかをPull down assayおよびYeast two hybrid法により検索する。 2. ORF5208の生化学的解析・・・大腸菌で発現させたORF5208タンパク質を用いてその生化学的活性を検討する。これまでの研究でORF5208のULP(ubiquitin-like protease)領域の活性が根粒形成誘導に必須であることが判明しているので、種々の基質を用いてULP活性(SUMO除去活性)の検出を目指す。基質としてはダイズのタンパク質を中心に検討する。基質濃度や反応バッファーなどの条件を広く検討する。 3. ORF5208が宿主に引き起こす遺伝子発現の解析・・・これまでに行なったRNA-Seq解析の結果を情報学的に精査し、Pathway解析や共発現解析等によりORF5208に関連する宿主遺伝子群を網羅的に補足する。課題1および2の結果と合わせて考察し、ORF5208が如何なる経路で根粒形成を誘導しているのかを推定する。
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[Journal Article] The rhizobial type III effector ErnA confers the ability to form nodules in legumes2019
Author(s)
Teulet Albin、Busset Nicolas、Fardoux Joel、Gully Djamel、Chaintreuil Clemence、Cartieaux Fabienne、Jauneau Alain、Comorge Virginie、Okazaki Shin、Kaneko Takakazu、Gressent Frederic、Nouwen Nico、Arrighi Jean-Francois、Koebnik Ralf、Mergaert Peter、Deslandes Laurent、Giraud Eric
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 116
Pages: 21758~21768
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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