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2019 Fiscal Year Annual Research Report

定常期から死滅期までの微生物生理状態の遷移

Research Project

Project/Area Number 19H02872
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

加藤 節  広島大学, 統合生命科学研究科(先), 助教 (80762070)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords大腸菌 / 1細胞解析 / 定常期
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、微生物細胞が回分培養され栄養飢餓状態に陥った時、どのような過程(生理状態の変遷)を経て死に至るのかを明らかにしようとするものである。本年度は細胞の生理状態のうち、特にタンパク質発現能力に注目して解析を行った。大腸菌をモデル生物として用い、GFPの発現レベルを指標として測定、評価を行うこととした。具体的にはgfp遺伝子を発現誘導型のプロモーター下におき、回分培養中の各時点で細胞液をサンプリングして発現誘導物質を添加し、一定時間経過後にGFP蛍光輝度を測定することでタンパク質発現能力を経時的に評価した。この時、それぞれの個細胞におけるGFP蛍光を定量的に評価するため、得られた顕微鏡写真から自動的に細胞部分を認識し、対応する蛍光写真の同一位置上での蛍光値を自動で抽出するための解析システムを構築した。また、各時点でサンプリングした細胞集団をLB培地で作製した薄い寒天培地上にまき、タイムラプス観察(顕微鏡下での経時的な観察)を行い個細胞の細胞増殖能力を観察することでそれぞれの時点における生存率を算出した。以上の結果を合わせたところ、回分培養中におけるタンパク質発現能力の低下は細胞の生存率の低下よりも早期に起こることが明らかとなった。
原核生物における死の過程と真核生物における死の過程を比較しその共通点・相違点を知るために、出芽酵母における解析も着手した。出芽酵母を回分培養中にサンプリングし、それぞれのサイズ分布を測定したところ、出芽酵母は細胞死に伴ってその細胞サイズを変化させることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定通り、定常期の細胞における代謝活性のうち、タンパク質発現能の評価系を構築することができたため。本年度はGFPタンパク質の発現量を指標として個細胞におけるタンパク質発現能力を測定、評価しようと試みた。はじめはIPTG誘導型プロモーターを用いていたが、プロモーターのもれにより回分培養中に非誘導条件でもGFP発現が確認されてしまい、計画したような測定は不可能であった。そこでGFP発現遺伝子をアラビノース誘導型プロモーターの下に組み込んだところ、非誘導条件でのGFP蛍光はほとんど観察されず、上記のような測定が可能となった。また、ImageJとMATLABを組み合わせることにより、それぞれの個細胞におけるGFPの発現量(輝度)を自動的に抽出するシステムの構築に成功した。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、細胞内還元力と細胞内ATP濃度に注目して実験を行う予定である。それぞれのパラメーターについてまず1細胞レベルでの測定、定量化の実験系を立ち上げる。その後、大腸菌を用いた回分培養において細胞を適切な時間にサンプリングし、それぞれの要素について測定を行う。測定した上記の生理学的要素と、再増殖能力で定義される細胞死の相関がどうなるのかを解析し、前年度の結果と合わせて「死へ向かう過程」を理解する。
また、大腸菌の解析と並行して、出芽酵母における解析も引き続き行う。原核生物と真核生物、対称分裂と非対称分裂を行う微生物同士を比較することで、細胞が死へ向かう過程の多様性が見えてくる可能性がある。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 出芽酵母における経時寿命の一細胞解析2020

    • Author(s)
      鈴木健太、青井議輝、中島田豊、加藤節
    • Organizer
      日本農芸化学会2020年度大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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