2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular and cellular biological analysis on early endosome motility and valuable material production in Aspergillus oryzae
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19H02874
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋口 裕次郎 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50732765)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 黄麹菌 / Aspergillus oryzae / 初期エンドソーム / 有用物質生産 / 分泌タンパク質 / 二次代謝産物 / mRNA局在 / smFISH |
Outline of Annual Research Achievements |
黄麹菌Aspergillus oryzaeは、発酵・醸造産業で用いられる有用微生物であり、高い安全性でアミラーゼ等の有用酵素を大量に分泌生産する。こうした経緯から、2006年の日本醸造学会大会において、黄麹菌は正式に“国菌”に認定されている。しかし、“国菌”黄麹菌が、なぜ有用酵素タンパク質を大量に分泌生産できるのかに関しては、未解明な分子機構が多く存在している。これまでに、細胞内膜交通におけるオルガネラである初期エンドソームが、ダイナミックな動態を示し、タンパク質分泌にも関与することを見出している。さらに近年、黄麹菌を含む糸状菌において、有用酵素タンパク質に限らず、有用二次代謝産物も膜交通経路によって分泌生産されることが明らかになってきている。そこで、黄麹菌を用いたさらなる有用物質分泌高生産を目指し、細胞内膜交通、とりわけ初期エンドソーム動態と有用物質分泌の分子機構および関連性の解明を目的とした。 これまでに黄麹菌において、初期エンドソーム動態がタンパク質分泌および細胞の分化に関与するとともに、黄麹菌における代表的な有用二次代謝産物であるコウジ酸分泌生産にも初期エンドソーム動態が関与していることも明らかにした。さらに、初期エンドソーム動態がコウジ酸生産の発現制御レベルで関与していることを明らかにした。 また、転写産物を細胞生物学的に解析する一手法として、fluorescence in situ hybridization (FISH) 法、特に一分子解析を可能にするsingle molecule FISH (smFISH)法を確立した。そこで、有用物質の分泌生産に関与するタンパク質のmRNAが、多細胞多核である黄麹菌において、細胞のどの部位の核で転写され、そして翻訳が行われているのかを詳細に解析し、初期エンドソーム動態と転写産物の時空間的な制御機構を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
黄麹菌においてこれまでに、初期エンドソーム動態がタンパク質分泌および細胞の分化に関与するとともに、黄麹菌における代表的な有用二次代謝産物であるコウジ酸分泌生産にも初期エンドソーム動態が関与していることも明らかにした。さらに、初期エンドソーム動態がコウジ酸生産の発現制御レベルで関与していることを明らかにした。 また一方で最近、初期エンドソーム動態がオルガネラ分布に関与していることを見出している。特に液胞の細胞内分布、さらにオートファジー関連遺伝子群の発現制御にも初期エンドソーム動態が関わっていることが示唆される結果を得ている。 また、転写産物を細胞生物学的に解析する一手法として、fluorescence in situ hybridization (FISH) 法、特に一分子解析を可能にするsingle molecule FISH (smFISH)法を確立した。そこで、有用物質の分泌生産に関与するタンパク質のmRNAが、多細胞多核である黄麹菌において、細胞のどの部位の核で転写され、そして翻訳が行われているのかを詳細に解析し、初期エンドソーム動態と転写産物の時空間的な制御機構を明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
有用物質生産性に関連して、コウジ酸以外の黄麹菌が生産する有用二次代謝産物生産にも初期エンドソーム動態が関与しているかを解析するため、有用二次代謝産物生産にグローバルに関連する因子についても解析を行っていく。 また、初期エンドソーム動態が液胞の細胞内分布やオートファジー関連遺伝子群の発現制御にも関わっていることから、出芽酵母で近年提唱されたシグナリングエンドソームと初期エンドソーム動態が関与している可能性を考えた。そこで、栄養源感知のシグナル伝達に関与するTORCおよび液胞融合に関連する因子と初期エンドソーム動態との関連性解析を進めていく。 さらに、egfpプローブを用いることで、EGFP融合タンパク質とそのmRNAを同時にsmFISH解析する手法の構築を行っている。これにより、さまざまな黄麹菌タンパク質/オルガネラマーカーとそのmRNAの細胞内分布を解析する実験系を導入し、有用物質生産に関与するタンパク質のmRNA分子についても解析を行っていく。
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Research Products
(8 results)