2019 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖ポリアミン生合成系の全容解明とシリカ形成における機能解析
Project/Area Number |
19H02886
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池田 丈 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 助教 (10505754)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 細菌 / ケイ素 / ポリアミン |
Outline of Annual Research Achievements |
一部の生物は、無機鉱物であるシリカ(SiO2)を細胞内で形成する能力を有する。形成されたシリカの内部には、多数のアミノ基を有する長鎖ポリアミンが存在し、シリカの形成に関与すると考えられている。しかし、その生合成経路は未だ不明であり、長鎖ポリアミンの機能を解析する上で大きな障壁となっていた。一方、研究代表者は、シリカを形成する中温性細菌において長鎖ポリアミン合成酵素をコードしていると考えられる遺伝子群を発見した。これまでに行った遺伝子破壊実験や組換え体発現実験などの結果から、これらの遺伝子の配列から予測される機能と実際の実験結果が一致しないことが示唆されている。本研究では、これらの遺伝子によってコードされるタンパク質の機能を詳細に解析することで、長鎖ポリアミン生合成系の全容を解明することを目的とする。また、得られた知見を基に、シリカ形成における長鎖ポリアミンの機能を解析する。 本年度の研究では、これまでに発見された遺伝子をそれぞれ大腸菌内に導入し、発現した組換えタンパク質をそれぞれ精製した。精製した2種類の組換えタンパク質を組み合わせてin vitroで反応を行ったところ、長鎖ポリアミン合成が認められた。しかし、合成された長鎖ポリアミンの鎖長は、本菌のシリカ内部より発見されたものよりも短かったことから、反応条件が適切ではないことが示唆された。今後はそれぞれのタンパク質の機能を解析すると共に反応条件の最適化を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroでの長鎖ポリアミン合成活性の確認に成功するなど、おおむね計画通りに進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によってin vitroでの長鎖ポリアミン合成が可能になった。今後は、反応条件の最適化を行い、より長鎖のポリアミンの合成を試みる。また、シリカ形成における長鎖ポリアミンの機能を解析するため、長鎖ポリアミン存在下においてケイ酸の重合によるシリカ形成を行い、得られたシリカの形状・物性の評価を行う。
|