2019 Fiscal Year Annual Research Report
生合成酵素エンジニアリングと合成生物化学的アプローチによるテルペン精密酵素合成
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19H02894
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
川出 洋 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20291916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊増 知伸 山形大学, 農学部, 教授 (60272085)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Biosynthesis / Diterpenoid / cyclase / Cytochrome P450 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究計画では,以下の3つの課題計画を立てた:〔1.新ジテルペン創製酵素の作出と入手困難な化合物の合成〕;〔2.酵素-テルペン化合物デュアル生産システムの構築と大量供給〕;〔3.新規ジテルペン生合成環化酵素の探索〕である。〔1〕課題の小課題では,植物由来の環化酵素をモデリング解析に基づいて新機能創出を目指した。酵素生成物が変化したものを作出できたが,既知化合物(センブレン)や収量の少ないものであった。またent-カウレン酸→GA12の変換活性をent-カウレン酸→3(OH)-ent-カウレン酸への機能変換を行うためのモデリング実験と活性変化の解析は,Pichia酵母で容易に組換え酵素が生産できるLactuca sativaのent-カウレン酸酸化酵素をテンプレートにして順調に進んでいる。すでに,KA→GA12への変換が起らず,GC上で異なる保持時間を持ち,マススペクトル解析からKAに水酸基が導入されたと考えられるピークを示す変異酵素が得られている。 〔1〕と〔2〕の各小課題から派生した,ハイゴケ由来のモミラクトン生合成に関わるシトクロムP450を用いた生合成経路再構築に取組み,一部成果を挙げた。 〔3〕の課題では,進化系統的に古い原始植 物等からのテルペン合成遺伝子の探索については,MTAを交わした研究機関等からサンプル分譲を受け,成長過程の部位のサンプリングを郵送または研究者自身で採集をした。RNA抽出の検討を行った後,次世代シーケンサ(NGS )解析用のサンプル調製を行い,解析業者のクオリティチェックにパスしたものをNGS解析に送り,de novo RNA-seq解析を無事完了できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの課題について順調に実験結果を出している。さらに課題の一部については2019年夏に論文投稿を行い,審査を受け,次年度(2020年4月以降)にアクセプトとなるところまできている。変異実験においても,順調に活性の変化した変異酵素が得られてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,課題〔1〕に関してテンプレートとなる環化酵素の種類やソースを更に広げ,新規骨格を有するジテルペン創出に研究ペースを上げて行く予定である。P450酵素機能改変では元の生成物とは異なる生成物を与える酵素を作り出せてきたので,今後は多重変異体酵素の作成などを視野に入れつつ,生成物の大量取得と構造解析に取組む。 また課題〔2〕について,デュアル生産システムを応用した形としてシトクロムP450を含めた【ジテルペン生合成再構築】でも成果を挙げて行く。 初年度にde novo RNA-seq解析を完了した課題〔3〕については,得られたビッグデータをもとにテルペノイド生合成関連遺伝子についてデータを収集するだけでなく,成長部位からのサンプルリングデータであることから,成長制御に関わるジテルペン系植物ホルモン生合成関連遺伝子についても情報を入手る予定である。
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