2020 Fiscal Year Annual Research Report
老化依存的な味感受性低下の発生要因の解明と抗老化食品成分によるその抑制効果の検証
Project/Area Number |
19H02905
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
成川 真隆 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (50432349)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 老化 / 味覚 / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は老化依存的な味感受性低下の発生要因を検討する目的で、主に唾液が味検出における役割を検討した。 唾液が味検出における役割を検討するために、主要な唾液腺(舌下腺、顎下線、耳下腺)を除去した唾液腺除去マウスを作製し、5つの基本味(甘味、苦味、旨味、酸味、塩味)に対する味検出能を行動学アッセイで観察した。唾液腺を除去したマウスにおいても、各基本味に対する感受性は認められた。また、その感受性は濃度依存的な変化を示し、唾液腺を除去したとしても味感受性は消失しないことがわかった。一方、各基本味に対する感受性を偽手術群と比較すると、いずれの味質に対する感受性も大きな差が認められた。高濃度の塩味や苦味溶液に対する忌避応答が低下し、また、うま味や甘味溶液に対する嗜好応答も低下していた。つまり、唾液腺除去によりこれら味質に対する好悪応答が減弱することが見出された。一方で、酸味溶液に関しては、唾液腺除去で忌避応答が増加する傾向が認められた。これらの結果は、唾液の存在が正常な味検知に必要であることを意味する。また、偽手術群と唾液腺除去群において、味蕾の形態や代表的な味細胞マーカーの発現を観察したが、これらには両群で顕著な差は認められなかった。前述したように、唾液腺除去群においても濃度依存的な味感受性の変化が認められなかったことから、唾液腺除去は味蕾自体の機能に大きな影響を及ぼさない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の計画に関しては上記研究実績の概要に記した通り、予定通り進行している。3年目についても順調に進むことが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は老化依存的な味感受性に与える唾液の影響について主に観察した。3年目は脳機能、特に記憶機能と味感受性の関係について検討を進める予定である。
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Research Products
(4 results)