2019 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of microRNA on flower color patterning in floricultural plants including lilies
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19H02945
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 真澄 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40210348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 貴司 静岡大学, 農学部, 准教授 (60435576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 花の模様 / microRNA / アントシアニン / 遺伝子発現制御 / R2R3-MYB |
Outline of Annual Research Achievements |
花に現れるアントシアニン色素によるさまざまな模様が、どのようなメカニズムできるのかを明らかにすることは、園芸学・生物学のトピックである。模様のひとつに、花弁の上部に色素が溜り(赤くなる)下部には溜まらない(白くなる)バイカラーがある。ユリ (Lilium spp.) のバイカラー品種を用いて、発現している配列を網羅的に解析(RNA-seq)したところ、ユリの花弁でアントシアニン生合成を調節しているMYB12(R2R3-MYB転写因子のひとつ)の蓄積量が、白い部分で有意に減少していることが分かった。ところが、MYB12は通常花弁全体でアントシアニン生合成を促進している転写因子であり(フルカラーになる)、バイカラー品種とフルカラー品種の違いをMYB12の存在だけで説明することはできない。 microRNAはnon-coding RNAのひとつで、おもに転写因子の働きを抑制する。ユリの花弁で蓄積しているmicroRNAで、MYB12の抑制に関わっているものをスクリーニングしたところ、花弁の白い部分で優先的に蓄積しているmicroRNAがひとつみつかった。このmicroRNAの機能を検討したところ、microRNAはMYB12のmRNAと2本鎖を作ってmRNAを選択的に切断することが分かった。白い部分で特異的に蓄積したmicroRNAが、MYB12の発現を抑制することによってアントシアニンの生合成を阻害したと考えられる。花に模様をつくるメカニズムとして、転写因子による空間特異的な転写調節、トランスポゾンの転移、CHS遺伝子のPost-transcriptional Gene Silencingなどが知られているが、microRNAが花の模様形成に関わっていることを示すのは本研究が初めてである。現在このmicroRNAのより詳細な機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにアントシアニン生合成を促進するMYB12(R2R3-MYBのひとつ)と、その作用を阻害するmicroRNAを特定し、それらの花弁での蓄積量を調査した。MYB12は花弁の赤いところで蓄積し、そこではmicroRNAの蓄積量は少なく、逆にmicroRNAは花弁の白いところで多く蓄積し、MYB12の蓄積量は低いことが分かった。すなわちバイカラーのアントシアニンの蓄積量はmicroRNAの変動からうまく説明することができる。 さらにバイカラー花弁をもちいてmicroRNA-seqも実施し、現在その解析をすすめている。MYB12に作用しそうなmicroRNAは、現在解析を進めているmicroRNAだけで、それ以外はなさそうである。 以上のようにmicroRNAの機能解析が順調に進み、さらにmicroRNA-seqも年度内に実施できたことより、進捗はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ユリバイカラーの花弁をもちいたmicroRNA-seqにより得られたデータの、解析を進める。 ユリにおけるバイカラー形成のメカニズムについて、とりまとめを行う。 ユリ以外の花き園芸植物で認められるバイカラーについても解析を開始して、microRNAが関与する模様形成がどの程度普遍的な現象なのか、明らかにする。
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