2020 Fiscal Year Annual Research Report
イチジク遺伝資源を用いた果実の味・香り制御遺伝子の網羅的解析と食味科学への展開
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19H02952
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Research Institution | Fukuoka Agricultural and Forestry Research Center |
Principal Investigator |
池上 秀利 福岡県農林業総合試験場, 豊前分場, 研究員 (40502414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 康介 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00192170)
佐藤 大 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 特任研究員 (30454052)
白澤 健太 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 主任研究員 (60527026)
矢部 志央理 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 研究員 (60767771)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発現遺伝子 / 糖 / 有機酸 / 香気成分 / 味覚 / 果実重 / 果皮色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き、イチジク遺伝資源の各層オミクスデータを収集するとともに、糖・有機酸成分、香気成分などを対象とした遺伝解析を実施した。 オミクスデータの収集ではゲノム以外の情報を取得した。トランスクリプトーム解析では、昨年度調整したサンプルのRNA-seqにより計約4千万リードを取得し、約4万6千遺伝子のうち約7千遺伝子で発現に定量性があることを確認した。メタボローム解析では、GCMS分析により41種の糖・有機酸成分および195種の香気成分を網羅的に検出して、定量化を行った。味分析では味覚センサーにより昨年度と同様に味覚8種類のデータを取得したが、苦味雑味を除いた項目値において年次間の低相関が認められた。 糖・有機酸成分および香気成分について高解像度なゲノムワイド関連解析を実施した結果、主に有機酸成分において有意なピークを複数検出した。香気成分については多くの成分で年次間の再現性が低かったことから解析方法などについて検討が必要であると考えられた。その他有用農業形質についても同様の解析を行った結果、果実重と果皮色形質の原因遺伝子候補を多数同定した。果実重関連SNPは染色体Fc02、Fc05、Fc06に、果皮色関連SNPは染色体Fc06に集中していることが認められた。さらに統合オミクス解析を有効に実施するための方策と解析手法について研究者間で検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに、2年分(2019年、2020年)のオミクスデータの収集をほぼ完了し(2年目のトランスクリプトームデータを除く)、糖と有機酸のデータも追加的に取得できた。また、データの取扱いや解析方法などについては今後更なる検討が必要であるが、一部の形質(成分)については寄与が想定される有力な遺伝子候補を同定できており、今後も解析の進展が期待される。以上のことから、おおむね順調に研究が進んでいると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
各層オミクスデータの取得を概ね完了したことから、次年度は情報解析に重点化して研究を進める。遺伝解析ではトランスクリプトーム情報を加味した解析を進める。同定した食味関連形質や有用農業形質の原因遺伝子候補ならびに形質選抜手法の情報ついては取りまとめを行い、論文投稿する。最終的に各層オミクス情報を統合的に活用して、イチジクの食味形質やおいしさに関する遺伝的・代謝的・味覚的背景の解明を目指す。
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Research Products
(1 results)