2022 Fiscal Year Annual Research Report
針葉樹の炭素固定量予測モデルの精緻化に向けた光呼吸代謝の解明
Project/Area Number |
19H03006
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
宮澤 真一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10578438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大宮 泰徳 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (70360469)
鈴木 雄二 岩手大学, 農学部, 教授 (80374974)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光呼吸 / 光合成 / 針葉樹 / 裸子植物 / 被子植物 / 二酸化炭素 / カタラーゼ / 過酸化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の光呼吸代謝は光合成の代謝の一部であり、植物のCO2固定量に直接的な影響を与える、きわめて重要な代謝である。一方で、樹木は裸子植物である針葉樹と被子植物である広葉樹など、進化的背景が大きく異なる植物群から構成されているにも関わらず、これまで同一の光呼吸代謝をもつと仮定され研究が進められてきた。 そこで、まず、野外に生育する13種の針葉樹と14種の広葉樹の葉を材料に、ガスクロマトグラフ型質量分析装置(GC-MS)や高速液体クロマトグラフなどの分析装置を用いて、葉に含まれる光呼吸に関与する代謝物を定量し、針葉樹と広葉樹で比較することにした。その結果、クロロフィル含量あたりの葉のグリセリン酸含量は、針葉樹と広葉樹で大きな違いがあり、針葉樹は広葉樹に比べて10分の1程度と顕著に低いことが明らかとなった。 グリセリン酸は光呼吸代謝において、セリンからヒドロキシピルビン酸を経て合成されることが通説である。そこで、広葉樹であるポプラと針葉樹であるスギの切り枝を材料に、炭素安定同位体(13C)で標識されたセリン(13C-セリン)を蒸散流を通して枝の切り口から吸わせる実験を行った。一定時間13C-セリンを吸わせた後、液体窒素によって葉を凍結採取して、GC-MSによって葉の代謝物の13C標識パターンを比較した。その結果、スギはポプラと異なり、グリセリン酸だけではなくグリコール酸など、ヒドロキシピルビン酸の過酸化水素による分解物も顕著に標識されていた。 さらに、遺伝情報データベースの解析や細胞小器官であるペルオキソームの単離分析により、このような針葉樹と広葉樹の代謝物の13C標識パターンの違いは、過酸化水素を消去するカタラーゼの細胞内局在性の違いによって説明的できることが示唆された。本研究によってこれまで同一とされてきた針葉樹と広葉樹の光呼吸代謝の違いを浮き彫りにした。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)