2021 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックをキーワードにした、木材腐朽菌の基礎および応用研究の新展開
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19H03017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中沢 威人 京都大学, 農学研究科, 助教 (80608141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 正弘 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40303870)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腐朽菌 / 担子菌 / リグニン / セルラーゼ / セルロース / 木材 / 糸状菌 / きのこ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒラタケでのH3K36Meレベルの変化が木質分解酵素遺伝子群の転写に及ぼす影響を調査した。 H3K36Meレベルが上昇した株を作製するため、相同性検索からH3K36脱メチル化酵素遺伝子と考えられるkdm4の破壊株を作製した。また、ゲノム上に3つ予測されているヒストンH3遺伝子の中で、主要に発現していると考えられるhst3aのORF中に、3塩基変異を相同組換えで導入し、36番目のリジン残基をアラニンに置換したK36A変異株を作製した。コントロール株として、変異が導入されていない相同組換え株 (H3-hph株) も作製した。 kdm4破壊株におけるH3K36のジメチル化 (H3K36diMe) およびトリメチル化 (H3K36triMe) レベルを調査したところ、親株と比較してH3K36triMeが約1.4~3.5倍に増加していた。脱脂ブナ木粉培地での転写に関しては、親株で転写量が豊富な5つの遺伝子の不活性化 (定量RT-PCRでは、培養20日目で約1/5から1/61に低下) がみられた。K36A変異株のH3K36diMeおよびtriMeレベルは、H3-hph株と比較して、それぞれ0.18~0.70倍および0.16~0.58倍だった。脱脂ブナ木粉培地での転写を調査したところ、コントロール株で転写量の低い合計7つのセルロース分解酵素遺伝子の転写量が約7~52倍増加していた。 本研究で観察された転写変動が、遺伝子の5´上流もしくはORF領域のH3K36Meレベルの変化によって直接引き起こされたかを調査するためにChIPを行った結果を踏まえると、H3K36Meレベルの上昇 (低下) は、間接的(直接的だが主要ではない )な作用でセルロース分解酵素遺伝子群の転写に負 (正) の影響を及ぼすことが示唆された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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