2021 Fiscal Year Annual Research Report
Plasticity in life cycle, host-specificity and physiological features of caligidae
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19H03032
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大塚 攻 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (00176934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 修 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40232037)
浅川 学 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (60243606) [Withdrawn]
田角 聡志 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (90359646)
近藤 裕介 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (90848087)
平山 真 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 講師 (40535465)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウオジラミ / 宿主特異性 / テトロドトキシン / 生活史 / 発生段階 / シロウオ / トラフグ属 / マダイ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)外来種ゴウシュウウオジラミは日本での発見当初、出現は西日本の養殖場に限定的であったが、本調査で瀬戸内海全域の天然マダイ個体群に拡散している実態が明らかになった。養殖場、天然のいずれのマダイ宿主でも幼体の割合が極端に少なく、成体が90%以上を占めた。原因として、成体の寿命が長い、成長速度が速い、生殖時期が限定的である、などが推定された。発生段階は、他の同属種同様にノープリウス幼生2期、コペポディド幼体1期、カリムス幼体4期、成体から構成されていた。 (2)テトロドトキシン(TTX)を皮膚に有するトラフグ属に寄生するセトウオジラミの体内にこれが蓄積されることは知られていたが、宿主への感染前のコペポディド幼体では全組織においてTTXが検出されず、感染後のカリムス幼体から蓄積が始まることが免疫染色によって判明した。カリムス幼体がTTXを含む粘液を摂取していることも明らかになった。脱皮によってTTXが体内から一時的に排出される可能性も示唆された。 (3)ウキウオジラミのプランクトンとしての出現は、瀬戸内海では夏から冬に限定的であった。サッパ、コノシロが宿主であることを明らかにした。発生段階の構成は他の同属種と同じであった。プランクトンとして出現する成体雌は宿主魚類に寄生するものに比較して卵数が有意に少なかった。 (4)遡河性シロウオからウオジラミ類の未記載種が発見された。宿主の寿命がほぼ1年であり、その生活史の特異性を考察した。 (5)セトウオジラミのコペポディド幼体の感染成立に重要となる前額糸形成に宿主の粘液成分が関与することを明らかにした。本種の組織内へのTTX蓄積機構に関し、TTXに対する抗体を用いて結合タンパク質の単離を試み、複数の候補が得られた。また、フグ類においてTTXに結合するタンパク質ドメインに相同性を示す遺伝子配列がセトウオジラミより得られ、全長配列の解読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウオジラミ類の種多様性、生活史の解明、宿主特異性、宿主への吸着メカニズムの研究及びセトウオジラミの体内へのTTX蓄積機構では大きな進展が見られ、成果を学術雑誌、国内外の学会で発表を行うことができた。一方、セトウオジラミの宿主特異性の分子的メカニズム解明については、研究材料である感染期コペポディド幼体を大量に集めることが困難であったためにやや遅延が見られるものの、データは着実に蓄積しつつあり、残された期間内に国内外の学会や学術雑誌での発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)セトウオジラミのトラフグ属への宿主特異性の分子メカニズム解明に力点をおいて研究を進めたい。研究組織で連携体制を強化したい。 (2)ゴウシュウウオジラミの宿主上での特異な成長段階組成(成体が極端に優占する)を実験室にて解明を試みる。 (3)ウキウオジラミが宿主から離脱する環境・生物学的要因の解明を試みる。 (4)シロウオを宿主とするウオジラミの未記載種の記載を進め,その生活史、宿主特異性の解明を試みる。
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Research Products
(14 results)