2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a nano-size electronic tag for aquatic animals to achieve data-driven science
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19H03036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 琢嗣 京都大学, 情報学研究科, 研究員 (70749184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田村 啓理 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (20534423)
和田 敏裕 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (90505562)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオロギング / ナノロガー / 種苗放流 / データベースシステム / クラウドシステム / データ駆動科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、通常の標識タグと同様に、小型で、簡便な装着が可能であり、かつ行動を計測可能なナノロガーおよびデータ蓄積・解析のためのクラウドシステムを開発する。今年度は、ナノロガーを実現する仕様の検討を行った。結果、小型化・省電力化するためには、電力・メモリの制限からデータの計測頻度を落とすことが不可決であると考えられた。しかし、計測頻度を落とした場合、対象生物の水平位置を十分に把握できない可能性がある。そこで、計測頻度を落とした場合でも水平位置を推定できるか検証する必要があり、まずは従来の計測頻度で水平位置を算出する方法を開発することを目指した。 本研究で、モデル魚種として用いる異体類などでは、海底に滞在する時間が存在するため、深度計測データから海底地形情報や潮汐位置決定法により水平位置を算出することが可能である。一方で、水平位置を算出できる時間が必ずしも連続的ではなく、かつ観測誤差が含まれるため、本種の移動速度を考慮しつつ深度データを用いて位置を推定するために状態空間モデルを構築した。粒子フィルタおよび隠れマルコフモデルにて状態推定を行なった。シミュレーションおよび海中に固定した深度ロガーの実測データを用い、精度検証を行なった。さらに、これまでに回収されたホシガレイの深度ロガーのデータに本推定方法を適用し、本種の産卵回遊時の水平移動を再現した。以上により、従来の計測頻度で水平位置を算出する方法を構築した。この成果は、令和3年度日本水産学会春季大会にて発表した。 データ蓄積・解析基盤の構築のためには、野外で対象生物の実データを取得する必要がある。このため、2020・2021年度に合計126個体の異体類(ホシガレイ・イシガレイ・マコガレイ)に従来の深度・温度ロガーを装着し、福島県の相馬・請戸にて放流試験を行なった。これまでに9個体のロガーを回収し、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響により、当初予定していたスケジュールから機器開発の進捗が遅れたため、予算の繰越を行うこととした。これまでに、ナノロガーの仕様を検討し、機器を実現するための仕様要件として、電力・メモリの制限からデータの計測頻度を落とすことが不可決であることがわかった。本仕様要件を基に、実際に機器開発を進めているところである。 計測頻度を落とした場合においても、対象生物の水平位置を推定できるか検証する必要がある。まずは従来の計測頻度で水平位置を算出する方法の開発を目指した。構築したアルゴリズムはシミュレーションおよび実データを用いて精度検証を行った。また、これまでに回収されたホシガレイの深度ロガーのデータに本推定方法を適用し、本種の産卵回遊時の水平移動の再現を行なった。これらの成果は、今後、計測頻度を落とした場合の精度検証を行うための基礎となるアルゴリズムを構築できたと考えられ、順調に進展していると考えている。 データ蓄積・解析基盤の構築のためには、生物からの実データを取得する必要がある。野外での実データの取得を行うため、2020・2021年度に合計126個体の異体類(ホシガレイ・イシガレイ・マコガレイ)に従来の深度・温度ロガーを装着し、福島県の相馬・請戸にて放流試験を行なった。順調に放流試験およびデータ回収ができており、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、従来の計測頻度で水平位置を算出する方法を開発した。今後は、開発したアルゴリズムを基に、計測頻度を落とした場合に、水平位置推定の精度がどのように変化するか検証を行う。また、センサの精度や分解能を変化させた場合においても検証を行う予定である。この解析結果をもとに、開発中のナノロガーの仕様および計測設定に反映させることを考えている。実際に、ナノロガーの試作機を作成し、野外での評価を進める予定である。これまでに取得した、従来の深度・温度ロガーによる野外での実データを用いて、データ蓄積・解析を行うクラウドシステムの仕様検討および構築を進める予定である。
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Research Products
(7 results)