2019 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンによる魚類の生殖行動・攻撃行動の制御メカニズムの解明
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19H03044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 範聡 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10370131)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 性ホルモン / 魚類 / 生殖行動 / 攻撃行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖行動と攻撃行動に顕著な変化を示す雌性ホルモン受容体遺伝子esr2bのノックアウトメダカ系統、および雌性ホルモン合成酵素遺伝子cyp19a1bのノックアウトメダカ系統の野生型とホモ変異体の脳を領域ごとに分割し、それぞれの脳領域のトランスクリプトーム解析を行った。脳を分割して解析を進めたのは、目的の遺伝子が脳内で広く発現するにも関わらず、特定の脳領域だけで発現に差を示す場合、全脳をサンプルとすると、その差が他の脳領域での発現にマスクされてしまい、うまく検出できない恐れがあるためである。現在、これらのノックアウト系統で得られたトランスクリプトーム情報を比較解析し、雌性ホルモンの支配下で生殖行動や攻撃行動を制御している候補遺伝子を絞り込む作業を行っている。
上記のノックアウトメダカ系統に加え、ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9法)を用いて、生殖行動や攻撃行動に何らかの表現型を示す可能性が考えられる雄性ホルモン合成酵素遺伝子11bhsd2、黄体ホルモン受容体遺伝子pgr、雄性ホルモン受容体遺伝子ara、雄性ホルモン受容体遺伝子arbのノックアウトメダカ系統も作出した。これまでに、それらの系統のライン化やジェノタイピング法の確立を済ませ、現在、それらの系統の生殖行動や攻撃行動の表現型解析を進めている。まだ予備的なデータではあるが、確かにそれらの遺伝子が、生殖行動や攻撃行動に深く関わっていることを示すデータが得られつつあり、引き続き、表現型解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定よりも進んでいる研究項目と遅れている研究項目があるが、総合的にみると、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展していると考えられるので、このまま本研究課題を推進していく。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Neuropeptide B mediates female sexual receptivity in medaka fish, acting in a female-specific but reversible manner2019
Author(s)
Hiraki-Kajiyama T, Yamashita J, Yokoyama K, Kikuchi Y, Nakajo M, Miyazoe D, Nishiike Y, Ishikawa K, Hosono K, Kawabata-Sakata Y, Ansai S, Kinoshita M, Nagahama Y, Okubo K
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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