2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H03055
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
松本 才絵 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 主任研究員 (80344331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淡路 雅彦 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 研究員(再雇用) (20371825)
鈴木 道生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10647655)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卵成熟 / レチノイン酸 / 二枚貝 |
Outline of Annual Research Achievements |
タイラギにおいて、レチノイン酸が卵成熟を誘起するとともに精子の運動を顕著に活発化することを見出した。これらの反応は短時間で認められるため、核内受容体のレチノイン酸受容体ではなく、膜受容体を介した作用機構が存在する可能性が考えられた。本研究は、レチノイン酸が二枚貝の新規卵成熟誘起ホルモンとして作用する機構、特に膜受容体を介して作用している可能性について明らかにする。 1.卵成熟誘起作用に関わるレチノイン酸受容体の解析 タイラギ卵の細胞膜画分と細胞質画分のレチノイン酸結合性を比較し、粗膜画分に結合性があるのを確認するために、十分発達した卵巣から各画分を調製した。現在細胞膜が分取できているか確認中である。また受容体の特性を解析するために、レチノイン酸の卵成熟誘起、精子運動活性化に関わるシグナル伝達機構を、受容体(RAR、RXR)のアゴニストを用いたバイオアッセイで解析した。 RXRアゴニストは卵成熟誘起と精子運動の活発化に効果が認められた一方、RARアゴニストには認められなかった。 2.レチノイン酸関連遺伝子の発現解析 レチノイン酸が卵成熟誘起ホルモンであれば、卵巣、精巣内でレチノイン酸合成酵素などの遺伝子が発現している可能性が高い。トランスクリプトーム解析結果からレチノイン酸の代謝関連遺伝子やレチノイン酸受容体を確認し、合成酵素retinal dehydrogenase cDNAを単離し構造解析した 。 3.タイラギ以外の二枚貝の卵成熟、精子運動活性化に対するレチノイン酸の作用の解析 ムラサキイガイについて、タイラギと同様の方法では卵が壊れアッセイに適する単離卵を準備できなかったが、塩類液のイオン組成を変化させることで卵の崩壊を減らせることが示された。精子運動活性化については、レチノイン酸はやや強い活性を示すものの定量化が困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タイラギ卵の膜画分と細胞質画分のレチノイン酸結合性を確認する予定であったが、調製した画分に細胞膜が含まれているかどうか確認できなかったため、結合試験ができていない。確認は抗体を用いたウェスタンブロットで行う予定であったが反応がみられず、代わりに指標酵素活性の測定により行った。今後細胞膜の確認は、指標酵素の活性測定と画分中のタンパク質の部分配列解析により行うこととし、確認でき次第レチノイン酸との結合試験をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている画分中の細胞膜の確認を行うとともに、前処理や使用するバッファー等卵膜画分の最適な調製方法を検討する。得られた膜画分を用いてレチノイン酸との結合性を確認できたら、画分中の膜タンパク質をカラムクロマトグラフィーで分離し、レチノイン酸結合性をアッセイすることによりレチノイン酸に結合する受容体タンパク質を探索する。 単離したレチノイン酸合成酵素cDNAについて雌雄、生殖巣発達段階における発現動態を解析する。 タイラギ以外の二枚貝の卵成熟、精子運動活性化に対するレチノイン酸の作用解析は、引き続きムラサキイガイについて検討する。
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