2021 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な風評対策と放射性物質検査体制に関する実証的研究ー行動経済学による接近
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19H03060
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下川 哲 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (40767224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80262418)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 風評被害 / 福島 / 米 / 需要 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、風評被害に関する新たな視点として「当初に誤解や偏見がなくても風評被害は発生しうる可能性」を実証的に検証するため、福島県産農産物の風評被害に注目する。 本年度は、2010年から2021年までの、主要17都道府県における店舗別の米に関するPOSデータを購入し分析した。特に、店舗が福島県産米を取り扱わない影響と、消費者が福島県産米を選ばない影響について検証した。その結果、以下のことが明らかになった。第一に、福島第一原発事故以降、福島県産であることが、他の産地に比べて、米の売上高を76.7%減少させる要因となっている。第二に、福島県産米を販売している店舗に限定しても、福島県産であることが、他の産地に比べて、米の売上高を73.6%減少させる要因となっており、消費者の選択による影響が大きいことが示唆された。第三に、原発事故以降、国産ブレンド米であることが、他の産地に比べ、売り上げを39.7%減少させる要因になっている。これは、消費者が「ラベルのない」福島米を避けている可能性を示唆している。最後に、2020年に米の全袋検査からサンプル検査へ変更した影響は、店舗レベルでは取り扱いを減らす影響がみられたが、消費者による選択への影響はみられなかった。 これら結果より、福島県産米に対する悪影響は、2021年でも続いており、事故から10年経っても福島県産米の需要は回復していないことがわかった。また、取り扱い店舗数も回復しておらず、店舗と消費者の双方の選択が回復を遅れさせる要因となっていることが示唆された。 加えて、2022年9月には、福島県浪江町および南相馬市において農家の現状と今後に関する聞き取り調査も実施した。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)