2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an evaluation method of flood damage risk on crops and its expansion to insurance business
Project/Area Number |
19H03075
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
増本 隆夫 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80165729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 宏 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (00776065)
曽根 千晴 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30710305)
鈴木 一哉 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (40706024)
近藤 正 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70279503)
皆川 裕樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 主任研究員 (70527019)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | シームレス一体型解析モデル / 洪水防止機能 / 順応型流域管理 / 流域灌漑方策 / ビジネスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の4段階で研究を遂行した。 まず、対象流域におけるモデル化については、シームレス一体型解析モデルの開発・検証を重点的に行い、モデル展開のために決定した3つの流域(雄物川、八郎湖、増川)のうち、雄物川と八郎湖流域において、初年度に収集したデータに基づいて、対象流域での解析を基礎データの利活用により順次進めた。同時に、シームレス一体型解析モデルのプロトタイプを発展させ、対象流域における氾濫解析ならびに長期解析を試みた。一方、観測は継続して気候変動実験における各種GCMによる実験結果の入手を行い、それらを開発済みの独自のバイアス補正法により1kmまでダウンスケールされたデータとして生成した。 次に、畑作物被害曲線作成のための実験については、秋田キャンパス内実験施設を利用し、水稲被害推定での実験を参照して湛水深・時間を自由に制御可能な実験施設と生育ポット等を用いた減収割合の計測を行い、特に、秋田県で栽培面積が多いダイズとソバの氾濫被害算定の基礎データを得た。 さらに、関連情報の収集、両面アプローチによるモデル結合とシームレスモデルの検討に関して、基盤となっているDWCM-AgWUモデルと氾濫モデルを結合し、水田内の氾濫計算の有無、ネットワーク水路の計算方式、氾濫域セルの可変化(氾濫域の拡大に応じて計算セルの数を変更)、計算単位時間の切り替え等のアルゴリズムの検討を行った。 最後に、リスク評価手法の開発については、上記のモデルをコアにしたリスク評価手法の開発の手順を明らかにするとともに、水田被害リスクの不確実性等の導入や統計的評価の手法を提案した。さらに、被害をヘッジするビジネスモデルへと展開させるための情報集めを開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度には、平成29年に前線性梅雨等で農地に洪水が発生した地域を選定し現地調査を行っていたところ、当初の想定に反し洪水が発生するほどの雨量がなく必要な数のデータを取得することができなかった。研究遂行上、水循環モデルと氾濫モデルの結合のためには農地の洪水による被害状況データをとることが不可欠なため、対象地域を広げての再選定及び日程調整をおこなった上で、梅雨等により洪水が発生しやすい7月に現地調査を延期する必要が生じた。 そのため、本年度に研究費の一部を繰り越して利用する計画を立てた。その後、当初、予定していた農地リスク解析システムの構築ができたうえに、冠水処理を濁水で行うために、購入を予定していた冠水中の濁度を維持用の水中撹拌機の開発も順調に完了したため、遅れていた研究が進んだ。加えて、洪水被害に関する現地調査と関連データの収集が進んで、前述の遅れをとり戻すとともに、構築した農地リスク解析システムで各種分析が順調に進捗した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、当初予定通り研究を進行し、これまでと同様の4段階で研究の完成を目指す。 ① 対象流域におけるモデル化:シームレス一体型解析モデルの開発・検証、ビジネスモデル展開のために決定した3つの流域において、2年間で収集したデータに基づいて、対象流域(雄物川流域ならびに八郎湖流域)での解析を順次進める。同時に、シームレス一体型解析モデルのプロトタイプを発展するとともに、シームレスモデルを完成させ、対象流域における氾濫解析ならびに長期解析を終了する。 ② 畑作物被害曲線作成のための実験:2年間の検討を継続させ、秋田キャンパス内実験施設を利用し、水稲被害推定での実験を参照して湛水深・時間を自由に制御可能な実験施設と生育ポット等を用いた減収割合の計測を行い、畑作物の氾濫被害算定の基礎データを得て、水稲減収評価曲線との統一を計る。 ③ 関連情報の収集、両面アプローチによるモデル結合とシームレスモデルの検討:DWCM-AgWUモデルと氾濫モデルを結合し、独自の計算アルゴリズムを完成させる。最終年度の検討として、シームレス一体型解析モデルのプロトタイプを対象流域に適用するとともに、新たな適用流域(子吉川流域)への展開も検討する。 ④ リスク評価手法の開発と評価ビジネスへの展開:平行して、上記のモデルをコアにしたリスク評価手法の開発の手順を示す。ここでは、適用範囲を畑作物に拡大した農作物被害リスク評価法を完成させ、その情報を共有しながら社会実装の具体的事例へと展開する。
|
Research Products
(14 results)