2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of risk assessment method for rice yield reduction by disease using crop model and drone data
Project/Area Number |
19H03078
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
本郷 千春 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (20272354)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 雅康 福島大学, 食農学類, 准教授 (50375391)
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 減収リスク / 水稲病害 / ドローンデータ / 衛星データ / 作物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、作物モデル、リモートセンシングデータ、現地実測疫病調査データ、気象データを駆使して、イネ白葉枯病(以下、BLB)及びいもち病の発病確率判定手法の構築、発生徴候の検出、病害発生徴候検出後の予測による減収リスク評価手法を構築することを目的としている。2019年度に得られた結果は以下の通りである。 ①インドネシアにおけるBLBの罹病評価結果と各波長帯反射特性の関係把握:BLB発生圃場の分光反射率は健全圃場に比べ、510nm付近で値が低く 670nm付近で一定となり、レッドエッジ付近において、罹病程度と反射率の間に有意な関係が見られた。赤と青波長帯反射率の和と差の比として求められるNPCIは出穂期のBLB罹病程度の違いをNDVIよりも明瞭に表していたことから、移植後40日程度~登熟期の罹病判定にはNPCIの方が適している事が推察された。 ②水田土壌腐植含量の推定:Sentinel-1及びSentinel-2衛星画像を用いて湛水条件下の地表面反射率と土壌腐植含量との関係を解析したところ、可視赤色域及びレッドエッジ波長態において負の相関関係(1%水準で有意)が確認され、レッドエッジを用いた腐植量推定式の10群クロスバリデーションによる検証結果はRMSE=0.72%であった。 ③ドローン・リモートセンシングデータを用いたSIMRIW-RSモデルのパラメータ調整:ドローンデータの取得方法と解析方法のプロトコル案を作成した。さらに収量推定や減収リスク推定をサポートするツールとして、シミュレーションモデルのパラメータ調整も行った。水稲群落の反射率に対し、光環境条件が与える影響をシミュレーションしたところ、条件によって反射率が大きく異なることが示された。NDVIが最も光環境条件の影響を小さくすることができた一方で、水稲生育の鍵となる葉面積指数に対する感度は低くなる傾向があることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシアにおいて各種実測データを収集するとともに、分光反射データ、ドローン画像撮影(マルチスペクトラル画像、熱赤外画像)、衛星データの取得等を滞りなく実施することが出来た。これらデータの解析を通して、得られた成果の一部は、以下の論文において発表済みである。 (①の研究実績に関連)Rani Yudarwati, Chiharu Hongo, Gunardi Sigit, Baba Barus & Budi Utoyo, Bacterial leaf blight detection in rice crops using ground-based spectroradiometer data and multi-temporal satellites images, Journal of Agricultural Science, Vol. 12, No. 2, 38-49, 2020 (②の研究実績に関連)優秀論文発表賞受賞:渋谷祐人・本郷千春・本間香貴・Gunardi Sigit・Baba Barus、Sentinel-2データを用いた水田土壌の腐植含量の推定、日本リモートセンシング学会第67回学術講演会 (2019.11.29). (③の研究実績に関連)橋本直之・齊藤裕樹・山本修平・牧雅康・本間香貴、水稲圃場におけるUAV観測時の日射条件を考慮した機械学習によるLAI推定手法の検討、日本リモートセンシング学会誌(2020)(印刷中)
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症に対する取組みにより、2020年3月から研究サイトであるインドネシアへの渡航が出来なくなった。4月時点で、渡航禁止及び渡航自粛の解除について今後の見通しが立たない状況下にある。そこで、2020年度は研究活動サイトを国内に設定して、当初の研究計画を実施していく。 具体的には、古川農業試験場の協力の下に、試験圃場においていもち病及び紋枯れ病のモニタリグ試験を行う。5月に田植えを行い、6月中旬にいもち病及び紋枯れ病菌を植え付ける。6月~9月下旬まで定期的に、病斑数のカウント、定点カメラ観測、ドローン画像の取得(マルチスペクトラル画像、熱赤外画像)、LAI測定を行う。9月下旬の収穫期には収量の計測を行う。取得したデータを用いて、発病程度と各波長帯の反射特性の関係を明らかにし、ドローンで取得したリモートセンシングデータによる発病確率判定指標を作成する。罹病時期と最終収量の減収程度の特定では、分げつ期から収穫期までの発病確率のモニタリング結果と、ドローン―リモートセンシングデータと収穫期の現地調査データから推定した最終収量との関係を調べ、罹病時期別に減収程度を特定する。 なお、国内での研究活動と並行して、2019年度にインドネシアで取得したデータを用いた解析も引き続き行う計画である。
|