2020 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体制御デバイスを用いた超長寿命小型ルーメンpHセンサの開発
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19H03079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 寿浩 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80262111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗田 吉広 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (20391451)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リモートセンシング / コンピュータネットワーク・ICT / 精密畜産 |
Outline of Annual Research Achievements |
超長寿命小型ルーメンpHセンサを実現するため、ルーメン内でpHセンサの要素電極に生じる現象について調査するとともに、pHセンサの長寿命化のためのガラス電極構造の提案を行い、無線小型ルーメンpHセンサの試作を行った。また、センサ用の自立電源としてのルーメン細菌叢発電の検討を行なった。 フィステル形成牛のルーメンにpHセンサのガラス電極と参照電極をそれぞれ4か月間留置した結果,いずれの電極もルーメンの日内pH変動1を検出できない程度に電極感度が変化することがわかった。また、ガラス電極表面の濁りを取り除くと,ルーメンに投入前の感度の95%以上に感度が回復するため、適切なガラス電極表面の汚染防止コーティングによってガラス電極性能を維持できる可能性があることが判明した。さらに、参照電極の電位のずれは,内部液量約1mLに対して塩化カリウム結晶を240%(w/w) 加えることで2年間抑制可能であると見積もることができた。 pHセンサの長寿命化のためのガラス電極構造として、バックコンタクトに導電性銅箔テープを用いた平面全固体ガラス電極を提案し、試作した結果,従来構造の90%以上の感度が得られることがわかった。また、直径22 mm x 長さ70 mmの無線ルーメンpHセンサを試作した。 ルーメン細菌叢発電に関して基本検討を行い、1Lのルーメン内容物を入れた発電槽が電極挿入後2週間後には0.5 V- 数mA程度の発電性能を示し、1ヶ月以上性能を維持できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
要素デバイスなどに関して超長寿命化に向けた課題を明らかにするとともに、センサ端末の超長寿命化のキーとなるルーメン内自立発電について、新たな取り組みが始められている一方で、無線ルーメンpHセンサのルーメンフィステル牛内の投入実験に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響による緊急事態宣言等により、実験機会が制限されたため、相当に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度(令和2年度)の研究は、翌年度に繰越を行なったため、実績報告書は最終年度(令和3年度)の報告とともに作成しており、今後の研究の推進方策は記入できないが、最終年度では、秋の緊急事態宣言解除後のフィステル形成牛実験に向けて、直ちに実験を開始できるよう、無線センサシステムを準備するなどの推進方策を行なった。
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