2021 Fiscal Year Annual Research Report
ハイスループットフェノタイピングに向けた植物群落ファンクショナルイメージング
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19H03081
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
荊木 康臣 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (50242160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐合 悠貴 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (20648852)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PS2量子収率 / 電子伝達速度 / 植物個体群・群落 / 反射画像 / 蛍光画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物のフェノタイピングにおいて、植物の機能形質(光合成の状態)の評価を可能にする、群落を対象とした画像解析手法を開発することを目的とした。 2021年度は、PS2量子収率の群落表面マッピング手法の開発をめざして、まず、前年度に得られた、飽和光として照射された光の強さ(飽和光照射強度)とクロロフィル蛍光収率の関係を利用した飽和光に達さない条件下で計測されたPSIIを補正するモデル式を用いて、飽和光照射強度(PPFD)が判れば、画像計測されたPS2量子収率を補正できることを示した。さらに、この補正に必要な飽和光照射強度を面的に把握するために、既に開発している群落表面光強度分布画像計測手法の有効性を確認し、実際に、数個体のイチゴ個体群に対して、群落表面PS2量子収率をマッピングできることを示した。さらに、光化学分光反射指数PRIの簡便な画像化にも取り組み、CMOSカメラと光学フィルターを組み合わせて撮影した2つの反射画像からPRI画像を取得できること、さらに画像によりPRIの変化を捉えることでPS2量子収率の変化を評価できる可能性を示し、より広範な光合成機能評価の可能性を示した。 植物ファンクショナルイメージングの基盤となる、画像中の植物葉部分の抽出に関しては、ディープラーニングによるセグメンテーション法の有効性を確認できたが、より簡便かつ汎用性の高い手法としての実際のシステム化には、さらなる検討が必要であった。さらに、画像から得られる投影面積と実際の葉面積の比である葉面積変換係数をCNNにより推定する手法を拡張し、植物の葉の量の情報であるLAIを、画像から推定する方法を開発した。本手法は、群落構造の評価だけでなく、群落(個体)光合成の評価への応用が期待できる。さらに、群落表面の光強度分布や量子収率等を利用して生育モデルから群落光合成を評価する方法についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回のファンクショナルイメージング技術の基盤となる、画像による群落表面光強度分布解析手法とクロロフィル蛍光画像解析手法およびPRI解析手法とを連携し、PS2量子収率や電子伝達速度に関する情報を得る(群落表面にマッピングする)ための手法の基礎的な部分は確立できている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向け、これまでに得られている画像による群落表面光強度分布解析手法とクロロフィル蛍光画像解析手法およびPRI解析手法との連携により、PS2量子収率や電子伝達速度を群落表面にマッピングする手法の妥当性・有用性の検討を行い、本手法を、植物のハイスループットフェノタイピングに利用するための具体的な方法を検討する。 課題としては、今回の手法で得られるマッピングされたPS2量子収率や電子伝達速度の妥当性を評価するには、点としての測定を繰り返す必要があると同時に、点として測定される範囲の分解能より画像から得られる分解能の方が高い(画像の方が細かく分布を捉えている)ため、値の妥当性の評価が難しい。よって、画像の分解能を変えたり、平均値を利用するなどして評価する予定である。また、生育や群落光合成に関するモデルを使った評価も検討している。
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Research Products
(8 results)