2020 Fiscal Year Annual Research Report
過大子のリスク低減を目指したウシ体外受精卵のエピゲノム解析
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19H03104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 俊太郎 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50447893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 洋一郎 京都大学, 農学研究科, 助教 (50541736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 体外受精 / 過大子 / 受精卵 / エピジェネティクス / ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
体外受精(IVF)は、家畜ウシの増頭や遺伝的改良上有用性の高い繁殖技術であるが、ウシの体外受精によって作出された卵(IVF卵)に付随する未解決課題として、母子双方の損耗につながる過大子症候群(LOS)のリスク増加がある。本研究では、LOSを防止する根本的な解決法を探るために、体内受精卵とIVF卵、正常産子と過大子の胎盤組織のエピゲノム(ゲノム全体にわたるエピジェネティック修飾情報)の統合解析を行い、エピゲノムについての受精卵の段階での差異(体内受精卵 vs. IVF卵)と胎盤組織での差異(正常子 vs. 過大子)を照合することにより、受精卵の段階ですでに決まっていると考えられる、LOSに関わるエピジェネティック修飾(LOS関連エピゲノム)を解明することを目的とする。 本年度は、IVF卵についてコントロール条件(準限定培地・低酸素条件)で得た胚盤胞のH3K4me3(ヒストンH3の4番目のリジンのトリメチル化)ゲノムワイドプロファイルを論文および公共データベースにより発表した。さらに同条件で得られた受精卵のH3K27me3(同じく27番目のリジンのトリメチル化)のゲノムワイドプロファイルの取得に成功し学会発表を行った。また、LOSについての高リスク条件(共培養条件)で得た受精卵のH3K4me3プロファイルを得て、コントロール条件と比較して差異の見られる修飾を多数同定した。さらに胎盤組織について体内受精およびIVF由来のサンプルのH3K4me3の解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の課題となっていた受精卵のH3K27me3の解析に成功し、またH3K4me3修飾について、対照群と高リスク群の明瞭な違いを同定することができた。胎盤の解析方法についてもライブラリ調製法を改善し、データを積み重ねている。
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Strategy for Future Research Activity |
体内受精卵のヒストン修飾解析を進めるとともに、特異的ヒストンメチル化修飾を受精卵ごとにスクリーニングする手法を検討する。胎盤組織の解析についても引き続き例数を重ねる。
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