2019 Fiscal Year Annual Research Report
The study for understanding the mechanisms how MSCs induce ovarian aging
Project/Area Number |
19H03108
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 昌之 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (20314742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隼明 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (30613723)
磯部 直樹 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (80284230)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卵巣 / 加齢 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,加齢に伴う生殖器官の機能低下における「卵巣の線維化と脂肪組織化」を新機軸として,その分子メカニズムを解明するだけでなく,畜産分野の技術開発へとトランスレーショナル(種雌畜の利用期間延長,供卵牛の繁殖管理,過剰排卵処理法の改善)する基盤を形成することを目的としている. H31年度(令和元年度)は,卵巣間質の変化と卵胞発育との関係を明確化する目的で,卵巣間質の線維化の原因となるコラーゲン線維をコラゲナーゼ処理することが卵胞発育に及ぼす影響を検討した.その結果,加齢に伴いコラーゲン線維による卵胞外の膜構造が発達すること,この強靭な膜構造によって卵胞が外向きに引っ張られていること,この力によって,卵胞内の構造が卵と顆粒膜細胞層に分離し,接着構造が破綻していることを見出した.この卵胞外のコラーゲン線維膜をコラゲナーゼ処理することで,卵胞を外向きに引っ張る力が弛緩し,卵と顆粒膜細胞層との接着構造が維持されること,この処理後の卵巣移植により,卵胞発育が正常化することを見出した. さらに,本技術を卵巣凍結保存に応用し,ガラス化保存後でも凍結保存を行っていない卵巣と同等の移植後成績を達成する手法の開発に成功した.
次に,卵巣間質の機能的変化を誘発するメカニズムを解明するため,卵巣間質における間葉系幹細胞の動態解析を行った.その結果,非常に興味深いことに,発情周期によって間葉系幹細胞の出現頻度が変化することを見出した.現在,レポーターマウスによって,間葉系幹細胞の由来の同定に取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣間質の加齢による変化,その変化による卵胞発育不全メカニズムを解明するだけでなく,計画通りにレポーターマウスの解析を開始している.
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣間質に局在するMSCの機能解析:H31年度に明らかとした卵巣間質のMSCとその分化誘導と卵巣機能との関連性の詳細を解明する.それらから,間質異常を予防する,あるいは異常を改善するホルモン(薬理学的)両方を考案する. 1)卵巣間質に局在するMSCで発現する線維芽細胞誘導因子や脂肪細胞誘導因子をESR-Creマウスを用いて特異的にノックアウトし,その生理学的役割を明確化する. 2) H31年度に明らかとしたMSC分化誘導について,発現遺伝子のプロモーター解析から上流探索するバイオインフォマティクス解析により,分化誘導因子を候補化する.候補因子を培養細胞系とin vivo薬理学的試験により,卵巣間質のMSC運命決定因子を同定する.
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