2019 Fiscal Year Annual Research Report
MHC クラスII DRB3*0902保有牛における牛白血病抵抗性機序
Project/Area Number |
19H03128
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
乗峰 潤三 宮崎大学, 産業動物防疫リサーチセンター, 教授 (30627667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 克明 宮崎大学, 医学部, 教授 (40301147)
今内 覚 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (40396304)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BoLA / MHCクラスII / テトラマー / 発症抵抗性 / BLV |
Outline of Annual Research Achievements |
牛主要組織適合遺伝子複合体(bovine MHC: BoLA)クラスII DRB3*0902 遺伝子を保有する牛は、牛伝染性リンパ腫(旧名称:牛白血病)ウイルス(BLV)に感染しても、極めて低いプロウイルス量を維持し、リンパ球増多症への病態進行に対する抵抗性を持つ。本研究では、DRB3*0902 分子の抗原提示によって惹起される抗原特異的CD4+T 細胞を解析し、抵抗性の免疫学的機序を解明する。まず、抗原特異的CD4+T 細胞を解析するために必要なBoLA クラスIIテトラマーを作製する。今回作製したのは、DRB3*0902、DRB3*1601、DRB3*1501、DRB3*0201である。従来MHCクラスIIのα鎖とβ鎖は別々の発現ベクターに組み込み、これらのベクターを同時にトランスフェクトする事によって2量体を作製するが、発現量を上げるために同一発現ベクターに組み込んで発現させる事を試みた。 具体的な新規テトラマーの構造は、CMVプロモーターを利用して、DRα鎖細胞外領域とDRβ鎖細胞外領域を口蹄疫ウイルス2A配列で繋いだ構造で、融合タンパクとして発現された後、切断される。同モル数のα鎖、β鎖が発現されるため効率よく2量体を作る事ができる。結果コンスタントに従来の10倍の発現量を得られるようになり、効率的テトラマーを作製する事に成功した。 牛MHCクラスIIテトラマーは、免疫後の細胞性免疫惹起を確認する上で極めて有効なツールであるが市販されていない。すなわち、これを作製できるかは本研究目的達成の大きな鍵となっていた。今回の手法で今後テトラマーのレパートリーを増やしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重要な進捗として、本研究の本題である抵抗性遺伝子BoLADRB3*0902の、テトラマー作製に成功したことが挙げられる。すなわち、このテトラマーを中心としたBoLAMHCクラスIIテトラマーを作製し、BoLADRB3*0902が持つ抵抗性の免疫学的意義を解明するための良いスタートが切れた。α鎖とβ鎖の2つの分子を融合した新しい複雑なコンストラクトであるため、実際に作製できるか確信はなかったが哺乳類系細胞の上清として精製することができた。産生量も従来の方法と比較し10倍以上となった。 このように、期待以上の成果があった一方、牛伝染性リンパ腫(旧名称牛白血病:BLV)ウイルス抗原として計画していた組換えenv及びgag蛋白の作製、精製が遅れている。これは、これらの蛋白をカバーする合成ペプチドによって実験をスタートしている。また、フィールドからの牛血液材料の取得が少し遅れる事になった。以上の事から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、遅れている組換えBLVenv及びgag蛋白(rBLVgag/env)発現ベクターのコンストラクトを全て完成する。env及びgag蛋白は大きいので発現効率を上げるため、短めのコンストラクトも作製する。同時に、フィールドからの牛血液材料を確保する。これは、1つの農場で既にBLV検査及びBoLADRB3アリルを同定したBLV陽性牛を見つけているため、実験準備が整い次第採血が可能である。目的のアリルを保有するBLV陽性牛の血液から末梢血単核細胞(PBMC)を分離し、先に述べた組換えBLVgag/envで1週間抗原刺激する。その後、抗原を加えず1週間休ませた2週齢の培養細胞を、CFSE増殖アッセイに使用し、CD4+T細胞エピトープを同定する。また、作製済みのテトラマーを使用してTGEM法によりCD4+T細胞エピトープを同定する。これらの作業を繰り返し、CD4+T細胞エピトープ及びBoLAクラスII拘束性を同定していく。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Direct filter PCR as a novel diagnostic test for bovine leukemia virus infection.2019
Author(s)
El Daous, H., 三苫修也, Elhanafy E., NgyenThi H., Mai T. N., 原彰宏, Duangtathip K., 竹崎由佳, 兼子千穂, 乗峰潤三, 関口敏
Organizer
第162回日本獣医学会学術集会
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