2022 Fiscal Year Annual Research Report
Epigenetics from totipotency acquisition to cell differentiation during early embryogenesis
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19H03136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 直治郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (30212236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マウス / MuERV-L / Prmt6 / キメラ転写産物 / 分化 / 受精卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス受精卵では内在性レトロウイルスの一種であるMuERV-Lが発現することが知られている。また、MuERV-Lは様々な遺伝子とキメラ転写産物を作ることが分かっており、本年度はZGA期に活性化されかつMuERV-Lとキメラ転写産物を作る、ヒストンのアルギニン残基をメチル化する酵素であるPrmt6に着目して研究を行った。マウス受精卵における定量PCRの結果、ZGA期ではMuERV-Lのプロモーター配列(MT2B2)とPrmt6のキメラmRNAが多く発現していたのに対し、分化の進んだ胚盤胞期では通常の転写開始領域から発現するPrmt6が多く検出された。また、通常のPRMT6タンパク質の分子量は42kDaであるが、ZGA期の受精卵を用いたウエスタンブロットの結果、約55kDaのPRMT6タンパク質が翻訳されていることがわかった。Prmt6のキメラmRNAでは通常の翻訳開始コドンの99 bpと168 bp上流に新たな翻訳開始コドンとなりうる配列が存在していたため、この2カ所のATG配列(メチオニン)をAAG(リジン)にそれぞれ置き換えたキメラmRNAをマウス受精卵に顕微注入し、ウエスタンブロット解析を行った結果、168 bp上流の翻訳開始コドンからPRMT6タンパク質(PRMT6MT2B2)が翻訳されることが明らかとなった。さまた、マウス受精卵の2細胞期の片方の割球でPRMT6MT2B2または通常のPRMT6を過剰発現させたところ、PRMT6MT2B2を過剰発現させた場合のみ胎児系列細胞への寄与率が有意に増加した。 本研究により、哺乳類の進化の過程でレトロウイルスが既存の遺伝子の上流に挿入されることでキメラmRNAを作り出し、機能の異なるタンパク質を生み出してきたことが示された。このようなキメラmRNAにおける翻訳開始コドンの上流への移動が発生過程で機能している例は世界初である。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)