2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on molecular mechanism of collagen-induced arthritis in cynomolgus monkeys
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19H03148
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
椎名 隆 東海大学, 医学部, 教授 (00317744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 靖 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90324566)
石垣 宏仁 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90432301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カニクイザル / 疾患モデル / MHC / リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、遺伝学、免疫学および病理学の多面的な解析から、コラーゲン誘導関節炎(CIA)と関連するMHC多型、CIAの重症度を規定する多型マーカーやバイオマーカーの同定等、CIA発症と関連する遺伝要因を明らかにすることを目的とする。これまでにフィリピン産カニクイザル9個体にウシtype IIコラーゲンを注射し、CIAの発症を観察した結果、3個体にCIAの発症を認めた。それら3個体の内の2個体は、同一のMafa-DRBアレル(Mafa-Class II#17)を有していた。また、それら3個体にはウシtype IIコラーゲンに対するIgG抗体価の上昇が免疫後3週目に観察された。さらには、病理学組織学的検索において、発症個体の関節には軟骨の糜爛と破壊および好中球浸潤を伴う滑膜炎が観察された。本年度では、免疫後9週目におけるCIA発症3頭と非発症5個体を用いたマイクロアレイ解析を実施し、両者間の転写レベルが10倍以上異なる20個の遺伝子を特定した。この中にはMafa-DRB1やMafa-DPA1が含まれていたが、それらと同じ古典的クラスⅡ遺伝子に分類されるMafa-DQA1やMafa-DQB1の発現変動は認められなかった。20個の遺伝子のうち、4個はテネイシン、線維芽細胞様滑膜細胞におけるβ1-インテグリン機能と細胞接着の調節などRAと関連しうる関連遺伝子であった。さらに、病理学組織学的解析として炎症局所における細胞浸潤の評価を行った。その結果、Mafa-Class II#17を有する重症関節炎個体では、Mafa-Class II#7を有する軽症個体と比較して、形質細胞浸潤が多かった(Th2型)。また、Mafa-Class II#7を有する軽症個体では、Mafa-Class II#17を有する重症関節炎個体と比較して、CD68陽性マクロファージ浸潤が多かった(Th1型)。程度の差はあるものの、関節炎を起こした個体でも、Mafa-Class IIの違いにより、局所における炎症の質(Th1、Th2バランス)に違いがある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CIAモデルを活用した種々の実験成果が計画通りに得られていることから、概ね順調に進展していると言える。また、研究開始当初からの目的に変更は無く、大きな計画変更も無い。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、組織学的検索、免疫学的検索をさらに進めるとともに、免疫前のマイクロアレイ解析を実施し、免疫後9週目と比較解析することにより、免疫前後における発現変動のある遺伝子を特定する。また、ヒトRA関連遺伝子の遺伝子多型や遺伝子発現データや本課題により得られた免疫学的、病理学的知見を含めてCIAにおける免疫動態を明らかにする。
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Research Products
(14 results)