2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン組成の多様性が可能とする遺伝子発現量制御機構の解明
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19H03158
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前原 一満 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (90726431)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒストンバリアント / クロマチン / ホッジ分解 / エネルギー地形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、細胞分化に際する一細胞レベルのエピゲノムおよびトランスクリプトームデータから、ヒストンバリアントの取り込みがもたらす細胞分化を規定するエネルギー地形変化を明らかにすることである。本研究では、ヒストンバリアントの取り込みによるエネルギー地形変化を捉え、異なるエピゲノム状態のダイナミクスが与える細胞分化の方向性や分化速度の制御機構の解明を進めている。本研究提案では、独自に開発した数理手法および少数細胞エピゲノムプロファイル法(ChIL)を用いて、取得した一細胞データからデータ駆動的にエピジェネティックランドスケープの直接的構築を試みている。これまでに解析を行ってきた新規ヒストンH3バリアント群を解析対象として、世界に先駆けて開発した少数細胞エピゲノム解析技術を駆使し解析を進めている。本年度は、筋再生過程のエピゲノムデータから、転写のダイナミックな情報を抽出する指標・及び解析手法を開発し、論文投稿を行った。さらに、ChIL法の詳細なプロトコルを論文発表した。また、クロマチンに取り込まれない新規ヒストンH3バリアントH3mm18の機能解析について論文投稿を行った。シングルセルデータからデータ駆動的にダイナミクスを抽出する手法の開発にあたり、支配方程式が既知の微分方程式モデルを利用した検証を進めている。共同研究のクロマチン構造研究については、論文成果を新たに3報挙げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、データ取得と解析手法の開発を並行して進めることができており、進捗は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調に推移しており、今後の当初計画に基づく研究開発を遂行していく。とくに、クロマチンのヒストン組成変化が、分化の進行にどのように影響を与えるか検証を行う。推定した分化ポテンシャルから、クロマチンのヒストン組成の違いが、分化に向かうルートのどの段階に影響を及ぼすか、検証を行う。まずは、NIH3T3細胞にて転写因子を強制発現し形質転換させる半人工的な系にて実験を行い、次いでマウス骨格筋組織の筋損傷回復過程における一細胞データを用いた組織の分化能地図を得ることを目標とする。
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Research Products
(8 results)