2020 Fiscal Year Annual Research Report
多階層解析による脂質二重膜中でのToll様受容体の活性化機構の全貌解明
Project/Area Number |
19H03164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大戸 梅治 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (90451856)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / TLR受容体 / 自然免疫 / クライオ電子顕微鏡 / 膜受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では自然免疫系の一回膜貫通型のToll様受容体(TLR)を研究対象とする。TLRは様々な疾患に関与し、医学・薬学的な重要に創薬ターゲットであり、そのリガンド認識・活性化・シグナル伝達機構の正しい理解が必要とされている。これまでの研究により、TLRが特異的にリガンドを認識し、細胞外ドメインが二量体化する機構が明らかになっているが、TLR全長に関する実験データは皆無であり、細胞外から細胞内へとどのように情報が伝達されるかに関しては未解明である。本申請課題では、TLR全長の脂質二重膜上での構造および挙動を多階層で解析することを目指す。 今年度は、まずTLR全長の活性化状態のクライオ電子顕微鏡解析を進めた。TLR全長を脂質環境を模したナノディスクに再構成した試料を用いて解析を進めた。その結果、TLR3全長の活性化型2量体を再構成したナノディスク試料について、4オングストロームを超える解像度の密度マップを得ることに成功した。TLR3の細胞外ドメインとリガンドである二本鎖RNAの密度は明瞭に確認することができた。しかし、TLR3の膜貫通領域および細胞内のTIRドメインに関しては密度を確認することができなかった。これは、TLR3の細胞外ドメインが膜に対して柔軟性を有していることを示唆する。クロスリンクにより安定化する、脂質二重膜の膜組成を最適化する、アダプター分子との複合体を形成させる、などしてTLR3の細胞外ドメインと膜貫通領域の間の柔軟性を制限する検討を引き続き行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の大きな目標の一つであるTLR全長の構造解析に向けて、大きな進展が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き脂質二重膜上でのTLR全長の構造解析を達成することに注力する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Structural analysis reveals TLR7 dynamics underlying antagonism2020
Author(s)
Tojo Shingo、Zhang Zhikuan、Matsui Hiroyuki、Tahara Masahiro、Ikeguchi Mitsunori、Kochi Mami、Kamada Mami、Shigematsu Hideki、Tsutsumi Akihisa、Adachi Naruhiko、Shibata Takuma、Yamamoto Masaki、Kikkawa Masahide、Senda Toshiya、Isobe Yoshiaki、Ohto Umeharu、Shimizu Toshiyuki
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 11
Pages: 5204~5204
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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