2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structure basis for multidrug resistance efflux pump spanning both membranes in Pseudomonas aeruginosa
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19H03167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 栄樹 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (00294132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 敦史 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20188890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 構造生物学 / 膜蛋白質の物質輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、緑膿菌由来の異物排出タンパク質複合体MexAB-OprMの機能する現場で形成する正確な構造を解明し、抗菌剤を菌体外に放出する機構を明らかにする。本年度は、MexAB-OprM複合体の全容を明らかにし、詳細な相互作用様式について調べることを目的とした。そのために、以下のことを行った。 I. 2つの生体膜を貫く巨大なMexAB-OprM複合体のクライオ電子顕微鏡単粒子解析 これまでの研究で、4.0オングストローム分解能の解像度でMexAB-OprM複合体の静電ポテンシャルマップが得られていたが、密度の低い領域も多いために、詳細な相互作用様式が不明瞭であった。この不明瞭な領域を明瞭にするため、ポテンシャルマップの密度の低い部分に着目した粒子画像のクラス分けを再度行い、局所的な領域で各粒子画像の方向を改めて決めた。これにより、MexAB-OprM複合体の静電ポテンシャルマップの解像度を3.7オングストローム分解能まで上げることができ、不明瞭な領域が減った。 II. MexAB-OprM複合体の構成タンパク質間の相互作用様式の決定 I. で得られたMexAB-OprM複合体の静電ポテンシャルマップに各構成タンパク質の結晶構造を当てはめ、静電ポテンシャルマップに合うように構造の精密化を行った。この得られた構造から各構成タンパク質間の相互作用に関わるアミノ酸残基を同定した。また、変異体を用いて、in vitroでの結合実験及びin vivoでの菌体生育実験により、同定したアミノ酸残基の実証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3.7オングストローム分解能のMexAB-OprM複合体の静電ポテンシャルマップが得られ、各構成タンパク質の結晶構造を当てはめることにより、構成タンパク質間の相互作用に関わるアミノ酸残基を同定することに成功した。 複合体構造を基に同定した各アミノ酸残基の変異体を作成し、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いた再構成確認実験や菌体の抗生物質への耐性をみる菌体生育実験により、複合体構造から同定したアミノ酸残基が複合体構造形成に重要であることを実証できた。
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Strategy for Future Research Activity |
異物排出タンパク質複合体MexAB-OprMが抗菌剤を菌体外に放出する機構の理解に向けて今後以下の方策で進める。 複合体単粒子解析に成功し、複合体形成に重要なアミノ酸残基を決定することができたが、詳細な複合体形成機構の理解には、各構成タンパク質間の結合様式を明らかにする必要があるので、複合体の解像度を上げるために解析方法を検討する。また、変異体やホモローグの構造解析を進め、各アミノ酸残基の選択的な複合体形成への役割や寄与について明確にし、MexAB-OprM複合体の構造形成機構を明らかにする。さらに、抗菌剤結合型の構造解析を進め、抗菌剤による構造変化を捉え、MexAB-OprM複合体の薬剤排出機構を明らかにする。
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Research Products
(5 results)