2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19H03182
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20402993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細菌 / 蛋白質 / 1分子計測 (SMD) / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
輸送ゲート構成タンパク質であるFlhAのC末細胞質ドメイン(FlhA-C)は9量体リング複合体を形成する。このリング複合体を構成する各FlhA-Cサブユニットがべん毛フックの完成に伴って協同的に構造変化すると、べん毛タンパク質輸送の交通渋滞が発生することなく規則正しい順番でべん毛タンパク質が送り出される。本研究は、フック完成に伴って誘導されるFlhA-Cリング複合体の協同的構造変化とそれに伴う機能変化を原子レベルで解明することを目指している。本年度の主な成果は以下に示す。 1.ATPase複合体構成蛋白質FliJとFlhAのC末細胞質ドメイン (FlhA-C)の相互作用が阻害されると、フックの長さがきちんと制御されないことを見出した。 2.FlhA-Cの391番目のアルギニン残基をアラニンに置換した flhA(R391A)変異体はフックが異常に長く伸長したポリフックを作り出すことが明らかとなった。さらに、このflhA(R391A)変異体からサプレッサー変異を多数単離したところ、サプレッサー変異がフック長さ制御蛋白質FliKのC末輸送スイッチドメインに存在することが判明した。FlhA-C(R391A)やそのサプレッサー変異体である FlhA-C(R391A/V404L)からX線結晶像解析に適した結晶を得ることに成功した。 3.X線結晶構造解析によりFlhA-C(E351A/D356A)の構造を2.8Å分解能で決定することに成功し、FlhAリンカーがべん毛蛋白質輸送の交通整理を直接司る輸送スイッチであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線結晶構造解析および変異体解析から、べん毛タンパク質輸送の交通整理のしくみを概ね明らかにすることができた。しかしながら、新型コロナの影響で金沢大学の古寺先生の研究室に伺うことが出来なかったため、高速AFMを用いたFlhA-Cリング複合体の動的機能構造解析はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
FlhA-C(R391A)やFlhA-C(R391A/V404L)の結晶構造の精密化を進めるとともに、FlhA-Cリング複合体のX線結晶構造解析に着手する。さらに、高速AFMを用いて フック長さ制御タンパク質FliKとFlhA-Cとの相互作用を可視化する。
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