2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating ligand-controlled GPCR activation mechanisms by cutting edge simulation
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19H03191
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (30252422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GPCR / PaCS-MD / キネティックス / 構造変化 / 活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リガンドの結合によるGタンパク質共役受容体(GPCR)の活性化からGPCRとの結合により活性化されるGタンパク質が解離するに至るまでのメカニズムを、PaCS-MD/MSMなどの最先端のシミュレーション法で明らかにすることを目指している。 当該年度は、まずリガンドがGPCRへ解離する過程をシミュレーションで可視化・定量化することを目指した研究を展開した。具体的には、実験的にA2Aアデノシン受容体との複合体構造が得られているアゴニストおよびアンタゴニストについて、PaCS-MDによる受容体からの解離シミュレーションをおこない、MSM解析により結合自由エネルギー・結合速度定数・解離速度定数を計算することで結合の強さ・結合および解離のプロセスの解析を目指した研究を開始した。アゴニストの1つであるNECAに関しては結合自由エネルギーの計算が終了したが、それ以外の分子については解離シミュレーションを継続中である。 次にリガンド結合が誘起するGPCRの構造変化とそのメカニズムを解析するための研究にも着手した。具体的には、A2AにNECAとminiGタンパク質が結合した活性化状態の構造を用いてその状態の安定性を分子動力学計算でチェックした。さらにこの構造からminiGが解離した場合、およびNECAとminiGが解離した場合の初期構造をつくり、そこから分子動力学計算を長時間行い、その構造変化を明らかにする計算を実行した。その結果、miniGがない場合には大きな構造変化を観察することできた。これが実験で得られている部分活性状態や非活性状態の立体構造とどの程度類似しているのか、現在のその詳しい解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ての解離シミュレーションは完了しなかったものの、最初の解離シミュレーションから結合自由エネルギーが計算でき、またminiGが解離した際のA2Aの大きな構造変化も観察することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続いて、A2Aアデノシン受容体との複合体構造が得られているアゴニストおよびアンタゴニストについて、PaCS-MDによる受容体からの解離および結合シミュレーションをおこない、MSM解析により結合自由エネルギー・結合速度定数・解離速度定数を計算し、結合の強さ・結合および解離のプロセスの解析を継続する。特にまだ計算が完了していないアデノシン(アゴニスト)およびZMA(アンタゴニスト)についての計算を優先的に行う予定である。上記以外のリガンド、カフェイン等についても同様な計算をおこない、定量的な違いを調べる研究も継続し、アゴニストとアンタゴニストが結合部位付近で競合したときに効果の解析も続ける。 また前年度に続いてNECAとminiGタンパク質の有無によってもたらさせるA2Aの構造変化の解析を継続する。
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Research Products
(36 results)