2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Study on molecular mechanisms of functional processes of biological molecules
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19H03195
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 重彦 京都大学, 理学研究科, 教授 (70402758)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チャネルロドプシン / イオンポンプ / 分子シミュレーション / QM/MM 法 / MD シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの機能性タンパク質は、複数の化学現象を相関させる機能共役性を有する。これらの顕著な性質は、タンパク質分子に特徴的な分子構造ダイナミクスに大きく関係していると考えられる。そこで、タンパク質の機能共役性を分子論的に理解するために、機能に関わる化学反応過程とタンパク質の大域的構造変化の相関を直接解析することが出来る独自の分子シミュレーションの手法である QM/MM RWFE-SCF 法を用いて、光遺伝学で用いられる光感受性イオン輸送体ホモログタンパク質やタンパク質酵素との比較を与えるリボザイムの酵素活性に関する理論的解析を行い、酵素の新機能開発に向けた原子レベルからの理解を得ることを目的とする。本年度は以下の成果を得た。 1.光感受性アニオンチャネル GtACR1 の光活性化の分子機構 チャネルロドプシンの間のカチオン/アニオン間のイオン選択性の分子機構を明らかにするために、QM/MM RWFE-SCF 法を用いて自由エネルギー構造最適化を行うことにより、光活性化によるチャネル開構造のモデリングを行った。その結果、発色団分子の光異性化後の構造において、水分子鎖が膜間で繋がった開構造のモデルを得ることに成功した。 2.光駆動型アニオンポンプ NpHR の光活性化状態の解析 NpHR は光照射により塩素イオンを能動的に輸送するポンプである。その光活性化機構を明らかにするために、QM/MM RWFE-SCF 法を用いて中間状態のモデリングを行った。中間状態では、細胞外側付近のカルボン酸側鎖からプロトン放出することが実験的に示唆されている。そこで、そのカルボン酸側鎖のプロトン化状態を変更した中間状態についてのモデリングを行った。 3.ハンマーヘッドリボザイムの酵素反応機構 反応中間状態について、QM 領域の大きさについて検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光感受性アニオンチャネル GtACR1 のイオン分布の解析や光駆動型アニオンポンプ NpHR の光活性化状態の解析では、すべてのチャネルロドプシンにおいてもこれまでの理論的・実験的研究では明らかになっていない、光活性化によるチャネル開構造のモデルを得ることに成功している。これにより、チャネルロドプシンの光感受性イオン透過の分子機構の解明に向けての大きな進展が期待される。また、NpHR では、実験をよく説明する中間状態のモデルが得られつつあり、イオンポンプのスイッチング機構の理解に向けて大きく進展している。また、ハンマーヘッドリボザイムの酵素反応機構の解析では、計算の進展により、適切な QM 領域についての知見が得られてきており、今後の進展が期待される。一方、当初予定の酵素ホモログ間の機能変換に関する理論的研究は、人的リソースの問題で若干進展が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
光感受性アニオンチャネル GtACR1 に関しては、これまでの研究で得られた光活性によるチャネル開状態のモデル構造に基づき、イオン透過の自由エネルギープロファイルをアンブレラサンプリング法により計算し、イオン透過の分子機構を明らかにする。また NpHR についても、モデリングを進めている中間状態構造に基づき、次のイオン輸送の一方向性を決めている中間状態の探索、及びアンブレラサンプリング法による自由エネルギープロファイルの計算により、能動輸送の分子機構が明らかになると期待される。また、ハンマーヘッドリボザイムの酵素反応機構の解析では、これまでの研究で定性的にモデリングをした反応中間状態について、適切な QM 領域を決定した後、反応中間体、及び反応遷移状態の探索を行うことにより、定量的な反応機構の解明を行う。
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Research Products
(7 results)