2021 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク構造に基づく生命システムの恒常性創出原理の数理的解明
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19H03196
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
望月 敦史 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (10304726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 一洋 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 教授 (80511427)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 恒常性 / ネットワーク / 感度解析 / 分岐解析 / 数理理論 / 細胞周期 / チェックポイント制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
恒常性は外部環境のパラメータの変化に対し、システムの動態の定常解の応答が小さいこと、すなわち感度解析における頑健性と理解できる。また恒常性の破たんは、外部環境に相当するパラメータが大きく変化した時、解が質的に振る舞いを変えること、すなわち定常解の分岐として理解できる。この考え方に基づき、複数の生命システム生命システムを解析し、恒常性が生まれる原理とそれが破綻する機構をネットワーク構造から解析した。 2021年度年度は、細胞周期システムのチェックポイント制御の解明を目指して、数理解析を行った。細胞周期は複数種のCdkやサイクリンといったタンパク質の活性によって調節されており,これらの間に多くの正や負のフィードバックを含むシステムである。G1期からS期,あるいはG2期からM期へ移行するためには、それぞれ異なるCdk/サイクリン複合体の活性化が必要である。しかし、これら二種の複合体は、ネットワーク中で反応を介してつながっており、また共通の分子が双方の複合体の活性制御に寄与している。このようなシステムで、ステージ特異的な細胞周期進行がなぜ実現可能なのかは、不明であった。申請者が開発した構造感度解析を用いて、振る舞いの基本単位である「緩衝構造」を特定したところ、このネットワークにおいてG1/S期とG2/M期のサイクリン複合体は、異なる緩衝構造に含まれており、互いに全く独立に振る舞う可能性が示された。基礎生物学研究所の青木一洋教授と共同研究を行い、独立制御の条件に含まれる、Cdc2、Cig2、Cdc13遺伝子の発現量を様々に変えた変異体を作成し、Cdk/サイクリン複合体の濃度を計測することで、この予測を検証した。構造感度解析の予測の大半を実験で検証することができた。これにより、G1/S,G2/Mの2つのチェックポイントが緩衝構造によって、独立に制御されていることが明らかになった。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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