2021 Fiscal Year Annual Research Report
Building Inventory of Evolution and Luminescent Mechanisms of Bioluminescent Proteins
Project/Area Number |
19H03200
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
由良 敬 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (50252226)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 博文 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 次席研究員(研究院講師) (60418572)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 発光タンパク質 / 分子進化 / 発光メカニズム / データベース / ゲノム塩基配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀の前半から、人類は地球の様々な空間の探索を行い、それにともないさまざまな発光生物の存在を報告してきた。大場裕一(中部大学)らは発光生物の情報を徹底的に収集し、その情報を「発光生物リスト・プロジェクト (LLL)」としてウェブ上に公開している。研究代表者と研究分担者はこのリストを出発点にし、その後に同定された発光生物を加え、これらの発光生物がもつ発光分子(タンパク質と低分子)を徹底的な文献検索で見いだし、発光生物と発光部位、発光タンパク質、発光低分子を接続した公開データベースの作成に取りかかった。2021年度においては、データベースBioHiKR (http://www.biohikr.life/)のデータ増強を実施すると共に、データベースの継続的運営を可能とするためにデータ構造再設計を実施し、新たにJSON型でデータを維持できるようにした。 また今年度においては、2020年10月に実施した野外調査で得られた新規と考えられる発光生物の発光機構を明らかにするために、ゲノム塩基配列断片からミトコンドリアゲノム塩基配列と核ゲノム塩基配列の構築を行った。構築できたミトコンドリアのゲノム塩基配列は一般的なミトコンドリアゲノムよりも短いため、部分配列である可能性が高い。しかしタンパク質の遺伝子はすべてそろっていたため、それらの情報をもとに系統解析を実施した結果、今までに登録されていない新規の配列であることがわかり、当該発光ゴカイがいままでにゲノム配列が登録されていない生物であることがわかった。BioHiKRに登録されている発光タンパク質アミノ酸配列と類似の配列を核ゲノム配列から推定されるアミノ酸配列と比較したところ、類似の配列を見いだすことはできなかった。このことは、核ゲノムの完成度が低いのか、あるいはまったく新しい発光タンパク質が存在するのかいずれかであることを意味する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画においては、データベースの公開と発光メカニズムのシミュレーションを2021年度に実施する予定であった。データベースの公開はできたが、内部データの維持方法を効率的にする必要があったため、データ格納を完了することができなかった。2022年度に持ち越すこととなった。シミュレーションについては試験的な計算はできたが、本格稼働をすることができなかった。いずれも2022年度に実施することとした。2020年度に実施した野外調査のデータ解析を進めることができ、新規発光生物を発見できた可能性が高まった。2022年度には、データベースとシミュレーションの研究を軌道に乗せるとともに、新規発光生物の発光物質を明らかにすることをめざす。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究推進には、研究室の学生1名の卒業研究として当該研究の一部を実施してもらうとともに、データベース構築と発光機構を明らかにするためのシミュレーションを進めていく予定である。
|